資産が少し下がっただけで、持分が大きく減る理由
資産を借入も使って持っていると、価格の下落は自己資金へ大きく及ぶ場合があります。借入額は資産価格に合わせて自動的に小さくなるわけではないからです。価格だけを見て、少しの下落なら耐えられると考えると、この関係が抜けます。
日本のバブルを扱う1993年度の年次経済報告は、資産価格の上昇とその後の下落が経済へ及ぼす影響を検討しています。ここでは当時の実績を転記せず、財務の関係を独自の計算で整理します。
資産、借入、持分をそろえる独自の仮例
架空の資産1,000万円を、自己資金300万円と借入700万円で取得したと置きます。利息、費用、税、追加担保、他の資産や負債は除きます。
| 資産の価値 | 借入残高 | 資産から借入を引いた持分 |
|---|---|---|
| 当初1,000万円 | 700万円 | 300万円 |
| 20%下落して800万円 | 700万円 | 100万円 |
| 30%下落して700万円 | 700万円 | ゼロ |
資産が20%下がった時点で、当初の自己資金に対する減少は約66.7%です。資産価格の下落率と、自分の持分の下落率は同じではありません。実在の融資条件や、実際のバブル期の値動きではありません。
持分があることと、返済できること
資産の価値が借入より多くても、その時点で現金を得られるとは限りません。売却まで時間がかかったり、収益が見込んだほど入らなかったりすれば、期限のある返済が難しくなる場合があります。
一方、価格が下がっても返済の期限や金利、入金の条件によって、すぐに同じ問題が起きるとは限りません。価格だけでなく、いついくら現金が動くかを分ける必要があります。
過去の図を、現在の全銘柄へ当てはめない
同じ市場に上場していても、借入の大きさ、保有資産、収益の得方は会社ごとに違います。市場が回復すれば一律に財務も戻るとは限らず、資産が多ければ必ず安全ともいえません。
現在の資料を読むなら、負債の残高と期限、資産の回収可能性、事業から入る現金を合わせます。バブル崩壊という名前を覚えるだけでなく、資産安のときに何が残るかを読むことが、今の財務を考える材料になります。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。