季節の売買を繰り返すと、制度上の条件が関わる
5月に売って秋に戻ればよいと考えても、NISAでは、その年に買い直せる枠が残っているかを先に確かめる必要があります。売却代金があることと、NISAで購入できる上限があることは別です。
セル・イン・メイは、5月にいったん売り、秋ごろに再び市場へ戻るという相場格言です。毎年同じ値動きが起こる制度ではなく、個別株の利益見通しや、その年の下落を保証するものでもありません。
NISAの非課税の仕組みは、季節性を使う戦略の成功率を変えるものではありません。格言に合わせて売買するかどうかと、購入できる口座の条件を分けて考える必要があります。
売却しても、同じ年の枠は戻らない例
独自の仮例として、当年の成長投資枠240万円をすでに使い切った成人がいるとします。その購入の中には、1株2,000円で100株、計20万円買った対象銘柄が含まれています。これを5月に1株2,200円、計22万円で全部売却したとします。費用や配当は考えません。
手元に22万円は戻りますが、同じ年の成長投資枠の残りは0円のままです。秋に同じ株をNISAで買い直す資金があっても、この年の枠が使えるようにはなりません。
2026年10月23日に確認した現行制度では、売却した商品の取得額に当たる20万円分の非課税保有限度額を、翌年以降に再利用できます。売却額22万円が再利用額になるのでも、年間投資枠がすぐ復活するのでもありません。翌年の購入にも年間投資枠が適用されます。
つみたて投資枠を、同じ株の買い直し枠にはできない
成長投資枠がいっぱいだから、つみたて投資枠で同じ個別株を買うという使い方はできません。つみたて投資枠には対象商品の要件があり、個別株の購入枠ではないためです。残高の合計だけで二つの枠を一体の現金枠のように見ると混乱します。
課税口座で買い直す場合は、将来の利益等への課税条件が変わります。NISAでそのまま持つこと、売却して待つこと、課税口座で再購入することは、同じ結果ではありません。売買費用や、保有していない間の値上がり、分配・配当を受け取れない可能性も関わります。
また、秋になれば必ず安く買えるとは限りません。再購入の価格と時期を決めないまま売却だけ行うと、格言の一部分だけを取引へ変えたことになります。
長期の計画と、暦だけによる変更を照らし合わせる
長期で積み立てる計画があるなら、五月という理由だけで中断する前に、投資期間や家計、商品の内容が変わったかを見ます。定期的な購入も元本保証ではありませんが、暦に合わせた売買には別の判断と条件が要ります。
利用できる枠、手元資金、対象商品、再購入の条件を整理すると、実行した場合の違いが見えます。NISAだから季節の売買を避けると一律に決めるのでもなく、格言だけで動いた後に口座の条件へ気付くことを防ぐ使い方です。