不確実性がなくなるまで待つと、判断できない
資料を読むほど、景気、金利、競争など気になる点が増え、「何も分からないから保留」を繰り返してしまうことがあります。オークツリーの共同創業者ハワード・マークスは、予測の難しさを論じる投資家です。それは、未来を完全に確定できるまで何も決めない方法を意味するわけではありません。
慎重な見方の使いにくさは、不安を挙げるだけなら際限がないことです。自分が知らない点、公開資料で調べられる点、調べても確定しない将来を分けないと、慎重さが単なる先送りになります。
待機する現金にも、目的がある
独自の仮例として、使途を決めていない100万円を、利息ゼロの現金で三年間保有したとします。その間、同じ商品・サービスの価格水準が毎年3%ずつ上昇したなら、三年後の100万円の購買力は、現在の約91万5,142円分です。100万円÷1.03の3乗で求めます。これは仮定であり、現在の預金金利や将来の物価予想ではありません。
だから必ず株式を買うべきだ、とはなりません。株価がさらに下がる可能性もあります。近く支払うお金なら、価格が変わりにくく支払いやすい現金を持つ役割があります。困るのは、その現金が何のためにあり、いつ判断を見直すかが決まっていない状態です。
他人と違うだけでは、優れた判断にならない
二次的思考を「人気の逆を選ぶこと」と簡略化すると、不人気な銘柄の悪化を軽く見てしまいます。支持者が少ない理由に、需要の減少や資金不足があるかもしれません。反対に、人気があるだけで割高とも断定できません。価格と事業の見通しを照合する作業は残ります。
自分だけの着眼点を持とうとして、根拠の薄い複雑な筋書きを作る危険もあります。公表された事実、そこからの推測、確かめられていない部分を分ければ、考える量が増えただけなのか、判断材料が増えたのかを点検できます。
人物の慎重さを、そのまま自分の配分にしない
専門の運用者と個人では、情報を読む時間、扱える商品、資金を使う期限が違います。発言の一節を抜き出して、現金の割合や売買の時期まで同じにする理由にはできません。本人の過去のメモも、その時点の問題意識を含んでいます。
リスクをすべて数値化できない場合でも、使う予定の資金、許容できる損失、追加で調べる項目を具体的にすることはできます。投資を見送る場合も、その理由と見直す条件が残っていれば、漠然とした不安と区別できます。慎重さの目的は失敗の可能性を消すことではなく、分からないことを抱えた判断を無理なく行うことです。