需要と供給を投資判断でどう見るか

需給、企業の価値、季節性は説明する対象が違う

株価を説明する時に、需要と供給、利益の伸び、季節のアノマリーが並ぶことがあります。しかし、これらは同じ種類の予測方法ではありません。比較するには、それぞれが何を観測し、どの条件を仮定するかを分けます。

需要と供給は、価格ごとに買いたい量と売りたい量を考える枠組みです。利益分析は、企業が稼ぐ額や一株当たりの取り分を考える方法です。季節性は、ある時期の過去の値動きに注目するもので、売買日や集計期間によって結果が変わります。

業績が改善すれば投資家の注文の条件も変わり得ますが、良い決算が出れば必ず株価が上がる、とどれか一つの情報で決まるわけではありません。

発行株数と一株当たりの利益を、単純な例で分ける

独自の仮想企業で、利益が1億円、株数が100万株なら、単純に割った一株当たり利益は100円です。新株発行で株数が125万株になり、利益が変わらないと仮定すれば、一株当たり利益は80円になります。

株数は25%増えていますが、一株当たり利益は20%の減少です。二つの率は分母が違うため同じにはなりません。通期を同じ株数で割る単純化した例で、実際の決算の期中平均株式数などの計算は省いています。

このような一株当たりの取り分の変化は希薄化として検討できますが、株価が20%下がることを計算した例ではありません。調達したお金の用途、その後の利益、投資家の期待も関わります。新しく発行する株と、市場で今売りに出ている株も、同じ数量ではありません。

比較する数字を、同じ表に混ぜない

見たいこと主に使う情報その情報だけでは決まらないこと
目先の売買条件注文の価格・数量、出来高将来の利益や未到来の注文
一株の取り分利益、株数、資金調達の用途その日の約定価格
商品の需給顧客の購入、生産、在庫株式市場の売り注文量
季節性条件をそろえた過去の期間比較今年も同じになる保証

商品の在庫は売れずに残る物量などの話で、株式は保有者が繰り返し売買できる権利です。工場の在庫が減ることを、そのまま株の売り注文が減ることへ読み替えることはできません。

条件付きの関係を、暦の予言へ変えない

他の条件が同じなら価格変化へどう反応するか、という説明と、今年の何月に価格が下がるか、という予測は違います。季節の格言を需給の法則で証明できたように扱うと、何が実際に検証されたかが曖昧になります。

比較する際は、株価が変わった事実、企業の情報、売買の数量、過去の傾向をそれぞれ記録します。理由を一つに決めるより、どの条件が変われば説明も変わるのかを明らかにする方が、異なる材料を組み合わせて使えます。

出典