日本株の比率は「使う通貨」から決める
海外在住者は、給与と日常支出が米ドルなどの現地通貨、将来の住宅費や帰国後の生活費が円ということがあります。この場合、現金や短期資金は当面使う通貨で確保し、将来の円支出に備える部分として円資産を検討するのが一つの考え方です。
円安だから日本株を買う、円高になりそうだから売るという判断だけでは、為替を外したときに生活設計まで崩れかねません。まず「いつ、どの通貨で、いくら使うか」を整理し、その後に日本株の配分を決めます。
日本株でも為替の影響は企業ごとに違う
日本で上場する会社だから、円安が必ず追い風になるわけではありません。輸出企業は外貨売上の円換算が増える一方、海外生産のコストや外貨建て債務もあります。内需企業でも、原材料やエネルギーの輸入価格が利益を圧迫することがあります。
個別銘柄を見るときは、次の点を確認します。
- 売上を得る国と通貨
- 原材料、人件費、生産拠点の通貨
- 為替予約などのヘッジ方針
- 値上げを受け入れてもらえる価格転嫁力
- 外貨建て債務と金利負担
- 配当を含む株主還元の持続性
「インバウンド」「輸出」「内需」といった分類は入口にすぎません。同じ業種でも収益構造は異なるため、決算資料で売上地域と為替感応度を確かめます。
海外在住だからこそ集中を避ける
勤務先が海外景気の影響を受け、給与も現地通貨、投資先も同じ国や業種に偏ると、仕事と資産が同時に悪化する可能性があります。反対に、帰国予定があるからと日本株へ全額を寄せれば、日本市場固有のリスクが大きくなります。
金融庁も、国内外の株式・債券など値動きの異なる資産への分散は、価格変動をある程度抑える方法になると説明しています。日本株は資産全体の一部として位置づけ、地域、資産、業種、購入時期を分けて考えましょう。
情報収集と見直しのルール
時差がある環境では、短期ニュースへ即応する運用より、決算ごとの確認項目を決める方法が現実的です。業績、財務、配当方針、投資仮説の変化を四半期ごとに確認し、帰国時期や生活通貨が変わったときに資産配分を見直します。
なお、投資戦略以前に、利用中の証券会社が非居住者の売買を認めているか確認が必要です。取引できない期間は、出国前に資産配分を整えるか、居住国で適法に利用できる金融サービスを検討します。
※本記事は一般的な考え方であり、特定銘柄の推奨ではありません。制度・取扱いは2026年8月11日時点で確認しています。