まず結論
リバランスとは、株式や債券などの保有割合が目標からずれたとき、元の割合へ戻すことです。たとえば株式と債券を50%ずつ持ち、株式の上昇で60:40になったら、株式を一部売って債券を買います。
この結果、値上がりした資産を減らし、値下がりした資産を増やす売買になります。相場の先行きを当てる必要がない一方、これは「安く買って高く売れる」ことを保証する仕組みではありません。
数字で見るリバランスの効果
100万円をAとBに50万円ずつ配分し、1日目にAが20%上昇、Bが10%下落したとします。
| 状態 | A | B | 合計 |
|---|---|---|---|
| 開始時 | 50万円 | 50万円 | 100万円 |
| 1日目の変動後 | 60万円 | 45万円 | 105万円 |
| 50:50へ戻した後 | 52.5万円 | 52.5万円 | 105万円 |
2日目にAが約16.7%下落、Bが約11.1%上昇し、それぞれ開始時の価格へ戻ったとします。買い持ちなら100万円です。一方、1日目にリバランスしていれば、Aは約43.75万円、Bは約58.33万円となり、合計は約102.08万円です。
これは、値動きの順番が結果に影響することを示す単純な例です。手数料、スプレッド、税金は含めていません。現実の運用では、これらのコストを差し引いて考える必要があります。
利益に寄与しやすい条件と、外れる場面
リバランスの効果は、ボラティリティ(価格変動の大きさ)が高いだけで決まりません。資産の相対的な強弱が入れ替わる、つまり平均回帰的な動きがあると、目標比率へ戻す売買が機能しやすくなります。
低相関の資産を組み合わせると比率はずれやすくなりますが、売買回数や取引コストも増えます。「相関が低い組み合わせなら必ず有利」とは言えません。また、Aだけが長期間上がり続ける相場では、Aを売ってBを買うため、Aの買い持ちに負けることがあります。2つの資産が同時に下落する局面では、リバランスをしても損失そのものは消えません。
毎日ではなく、ルールを先に決める
毎日目標比率へ戻す方法は、仕組みを理解する教材としては分かりやすいものです。しかし実際には、次のような方法もあります。
| 方法 | 例 | 見るべき点 |
|---|---|---|
| 定期型 | 月次や半年ごとに確認 | 管理しやすいが、途中のずれは残る |
| 乖離幅型 | 50:50が55:45を超えたら確認 | 不要な売買を抑えやすいが、幅の設定が必要 |
| 入金型 | 新しい資金を比率の低い資産へ回す | 売却を減らせるが、追加資金が必要 |
実践を検討するなら、まず次の順で決めます。
- 投資目的と許容できる値下がりから、目標配分を決める。50:50が万人に適した比率という意味ではありません。
- 確認頻度、乖離幅、売買に使う資金を決め、相場を見てから変更しない。
- 可能なら新規の入金を使い、売却に伴うコストを抑える。
- 税金・手数料・スプレッドを含め、買い持ちとリターン、最大ドローダウン、売買回数を比較する。
まとめ
ボラティリティ・ハーベスティングは、値動きの異なる資産を一定比率に戻す過程で、値動きのばらつきが収益に寄与する可能性に注目する考え方です。
ただし、相場が一方向に動くときやコストが大きいときは、買い持ちより不利になり得ます。狙うべきなのは「毎日売買すること」ではなく、目標配分と売買条件を先に決め、費用控除後の結果を検証できる運用です。
出典
外部資料の確認日:2026-09-16
- Investor.gov「Asset Allocation and Diversification」 https://www.investor.gov/introduction-investing/getting-started/asset-allocation
- Investor.gov「Beginners’ Guide to Asset Allocation, Diversification, and Rebalancing」 https://www.investor.gov/additional-resources/general-resources/publications-research/info-sheets/beginners-guide-asset
- Winfried G. Hallerbach, “Disentangling Rebalancing Return”, *Journal of Asset Management*, 2014 https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2390614
- Rim El Bernoussi and Michael Rockinger, “Rebalancing with transaction costs: theory, simulations, and actual data”, *Financial Markets and Portfolio Management*, 2023 https://doi.org/10.1007/s11408-022-00419-6