相場が正しさをすぐ認めるとは限らない
“Markets can remain irrational longer than you can remain solvent.” は、市場の値付けが不合理に見えても、その状態が投資家の資金余力より長く続くことがある、という警句です。割高だと思って空売りした株がさらに上がる、割安だと判断した株がさらに下がる。そうした逆行中に損失が膨らみ、資金を維持できなくなれば、後に相場が反転しても利益を得られません。
投資の見立てと、取引を続ける能力は別の問題です。方向を当てるだけでは不十分で、外れた時の損失に耐えられる規模かも考える必要があります。
レバレッジは時間の余裕を縮める
現物株でも株価下落による損失は起こりますが、信用取引や先物などレバレッジのある取引では、自己資金に対して損益が大きくなり、追加保証金や強制決済が関わる場合があります。価格が戻るまで待ちたいと思っても、証拠金や契約上の条件によって待てないことがあります。
また、空売りは損失が理論上限定されず、買い持ちとはリスクの形が異なります。格言の「資金が尽きる」は比喩だけでなく、取引条件次第では現実の制約です。
予想より先に決めること
取引前に、どの水準や事実が出たら見立てを取り下げるのか、資産のうちどれだけをその取引に使うのかを考えます。資金を一銘柄や一つの方向に集中させないことも、逆行に耐える時間を確保する助けになります。
もちろん、損失上限を設けても急変時にその価格で約定するとは限りません。相場が反転するまで待てるかではなく、反転しない場合でも生活資金や投資全体を壊さずに済むか。格言が向ける問いはそこにあります。