ROICとは?投下資本に対する利益をどう読むか

利益の額だけでは見えないこと

ROIC(投下資本利益率)は、事業に使った資本に対して、どれだけ利益を生んだかを測る指標です。大きな工場を持つ会社と、少ない設備で稼ぐ会社では、利益額だけを比べても資本の使い方は分かりません。ROICを見ると、事業に預けた資金がどれほど効率よく働いたかを考える手掛かりになります。

一般的には、税引後営業利益を投下資本で割って計算します。ただ、税引後営業利益の調整方法や投下資本に何を含めるかは、資料や分析者によって違うことがあります。企業が独自に示すROICは、算定式や対象事業も一緒に読みたい数字です。

会社の説明と決算を行き来する

ROICが上がったとき、分子の利益が伸びたのか、分母の資本が小さくなったのかを分けて考えます。工場売却や運転資金の圧縮で分母が縮めば、計算上は改善しても、将来の成長余地まで増えたとは限りません。逆に成長投資で資本を先に積み上げた会社は、投資が利益になるまで一時的にROICが低下することがあります。

投資家が気にしたいのは、水準そのものより改善・悪化の理由です。会社が中期経営計画でROIC目標を掲げているなら、利益率、在庫、設備投資、事業売却のどれを変えて達成する計画なのかを見ると、数字の実現性を考えやすくなります。

資本コストと並べてみる

ROICは資本コストと比べると意味が出ます。事業が資金提供者の求めるリターンを上回る利益を生めているか、という見方です。ただし資本コスト自体も推計値で、企業のリスクや金利環境で変わります。ROICが資本コストを少し上回るかどうかだけで、企業価値を断定はできません。

同業他社と比較する際も、事業構成や会計上の扱いをそろえたいところです。ROICは経営効率を考える材料の一つ。売上成長や財務の余裕、利益の継続性と並べて初めて、資本がどこに使われているのかが見えてきます。

関連記事