今日の見方
百貨店、ドラッグストア、家電量販店などを見る際は、免税売上の規模に加え、返金手数料の負担、多言語案内、移行直後の店頭対応に目を向けたい。制度変更だけでは売上や利益の増減は決まらない。買い物のしやすさと店舗の運営費が、実際にどう変わるかが焦点になる。
11月1日購入分から、税込販売と事後返金が基本に
国税庁・観光庁の制度案内によると、輸出物品販売場制度は2026年11月1日の販売分からリファンド方式へ移行する。対象は、外国人旅行者などの免税購入対象者に対する、一定の要件を満たす商品の販売だ。
店では税込価格で販売し、購入者が国外へ商品を持ち出すことについて税関の確認を受ける。店側は購入記録情報と税関確認情報を保存して免税の適用を受け、基本的には確認後、購入者へ消費税相当額を返金する。
適用を分ける基準は販売日である。10月までの購入分と11月以降の購入分では、同じ旅行中でも手続きが異なる場合がある。具体的な返金方法や実施時期は利用店舗・委託先の案内によるため、空港で一律に現金が戻る仕組みとして受け取らないほうがよい。
投資家が見る点: 免税対象となる買い物でも、購入時には消費税分を含めた支払いが必要になる。購入者の資金負担や返金の分かりやすさが買い方に影響する可能性があるが、客単価や来店数への影響は開始後の実績で確かめる必要がある。
90日以内の出国時に確認、荷物を預ける前に手続き
購入者は、購入日から90日以内の出国時に、空港・港の免税手続用端末などで旅券を提示し、税関の確認を受ける必要がある。90日の数え方は、国税庁の説明では購入日の翌日から起算する。
商品を入れた荷物を航空会社などに預けた後では手続きできない。確認は購入記録1件ごとに行われ、その記録に含まれる商品が一つでも確認できなければ、同じ記録の他の商品も免税にならない。
例えば、同じ購入記録に化粧品と菓子が含まれ、菓子を国内で食べて持参できない場合、残った化粧品だけを示しても、その記録全体の返金条件を満たせない。国内線から国際線へ乗り継ぐ場合は、日本を出国する最終空港での手続きになる。
投資家が見る点: 店頭の会計だけでなく、出国時の確認まで含む買い物体験に変わる。販売時の説明不足や返金に関する問い合わせが増えれば、店舗の接客負担にも影響する。移行期は売上と併せて、利用者への案内やサポート体制を読む意味がある。
包装や消耗品の上限は撤廃、最低購入額は税抜で判定
一般物品と消耗品の区分、消耗品の同一店舗・1日当たり50万円の購入上限、特殊包装の要件が廃止される。購入下限は原則として同一店舗・1日当たり税抜5,000円以上で、税込販売へ変わっても、この判定は税抜金額で行う。
包装が簡素化されても、飲食料品や化粧品などの消耗品を国内で消費すれば、税関確認・返金の対象にはならない。また、購入者自身が出国時に持参できる数量に限られるため、上限撤廃を際限なく買える制度と解釈することはできない。
投資家が見る点: 包装資材や作業時間を減らせる面はある。ただし、販売数量が増えるかは旅行者の荷物量や需要にも左右される。手続きの簡素化による費用削減と、販売拡大の効果を分けて見たい。
返金手数料は契約による、政府が徴収するものではない
返金は免税店自身、または委託を受けた事業者が行う。観光庁の事業者向けQ&Aでは、代行手数料を旅行者と店のどちらが負担するかに、制度上の一律の定めはないと説明している。政府が返金手続きの手数料を徴収するものでもない。
投資家が見る点: 店が負担すれば採算に、旅行者が負担すれば実質的な買い物の有利さに影響する。手数料率や返金までの時間を全国共通の条件として置かず、各社の案内と費用負担を読む必要がある。店頭で一時的に受け取る消費税分を、そのまま企業の売上増や利益増と考えることもできない。
11月以降は、免税売上の定義と対応費用を見る
新方式への切り替え後は、各社の月次販売動向や決算説明で、免税客数・客単価、返金代行費用、システム対応費用がどう説明されるかが確認点になる。販売額が税込か税抜か、販売と返金をどの時点で集計するかなど、開示の定義にも注意が必要だ。
免税販売の動きは、為替、訪日客の地域構成、商品構成によっても変わる。11月の変化をすべて制度変更だけで説明せず、企業が示す実績と費用の内訳から評価したい。制度の内容は2026年10月22日に国税庁・観光庁の資料で確認した。
関連ページ
出典
- 国税庁「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」(2026年4月改訂Q&A概要編、同年7月の詳細編など)
- 観光庁「消費税免税店サイト・旅行者向け特設ページ」
- 観光庁「免税店向け よくある質問(リファンド方式)」(購入記録単位の確認、消耗品、返金手数料など)
制度の説明と図は、上記の公式資料を基にKABUTRACKが構成した。