要約
2026年の社会保険(健康保険・厚生年金)の加入条件は、勤務形態によって異なります。
特にパート・アルバイトの場合は、2026年10月から「月額8.8万円以上」の賃金要件が廃止予定です。これまで「106万円の壁」と呼ばれていた基準は、だんだん意味が変わっていきます。
2026年6月11日時点で、主な加入条件は次の通りです。
- 週20時間以上勤務
- 2か月を超えて働く見込み
- 学生ではない(原則)
- 従業員51人以上の企業等で働いている
- 月額8.8万円以上の賃金要件は、2026年10月に廃止予定
つまり、今後は「年収106万円を超えるか」よりも、「週20時間以上働くかどうか」がより重要になります。
2026年の社会保険加入条件
社会保険とは、主に健康保険と厚生年金を指します。
会社員は通常、勤務先を通じて社会保険に加入します。パート・アルバイトでも、一定の条件を満たすと加入対象になります。
2026年6月11日時点で、短時間労働者が社会保険に加入する主な条件は次の通りです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 |
| 雇用見込み | 2か月を超えて働く見込みがある |
| 学生区分 | 学生ではない(休学中・定時制など例外あり) |
| 企業規模 | 従業員51人以上の企業等 |
| 賃金要件 | 月額8.8万円以上。ただし2026年10月に廃止予定 |
ここで大切なのは、年収だけで判断しないことです。
勤務契約上の労働時間、勤務先の規模、学生かどうか、雇用期間の見込みをセットで確認します。
2026年10月から何が変わるのか
大きな変更点は、短時間労働者の「月額8.8万円以上」という賃金要件が廃止予定であることです。
月額8.8万円を12か月で見ると、約105.6万円になります。これが、いわゆる「106万円の壁」の元になっていました。
ただ、最低賃金が上がると、週20時間以上働くだけで月額8.8万円を超えるケースが増えます。そのため、賃金要件そのものを残す意味が薄くなってきました。
2026年10月以降は、賃金額よりも次の条件が実務上の確認ポイントになります。
- 週20時間以上働く契約か
- 2か月を超えて働く見込みがあるか
- 学生ではないか
- 勤務先が適用対象か
「106万円を超えたかどうか」だけで考えると、かえってわかりにくくなります。
106万円の壁はなくなるのか
2026年10月から、106万円の壁の元になっていた月額8.8万円の賃金要件は廃止予定です。
ただし、これで社会保険の壁がすべてなくなるわけではありません。
残るポイントは次の通りです。
- 週20時間以上という労働時間の条件
- 学生ではないという条件
- 2か月超の雇用見込み
- 勤務先の企業規模要件
- 配偶者などの扶養認定に関係する130万円の壁
特に「130万円の壁」は、配偶者の社会保険扶養から外れるかどうかに関係するため、引き続き重要です。
企業規模要件は段階的に拡大される
2026年6月時点では、短時間労働者の社会保険加入は、原則として従業員51人以上の企業等が対象です。
ただし、今後は企業規模要件も段階的に縮小される予定です。
| 時期 | 対象企業の目安 |
|---|---|
| 現在 | 従業員51人以上 |
| 2027年10月から | 従業員36人以上 |
| 2029年10月から | 従業員21人以上 |
| 2032年10月から | 従業員11人以上 |
| 2035年10月から | 従業員10人以下も対象へ |
今は対象外の小規模企業で働いている人も、数年後には社会保険加入の対象になる可能性があります。
手取りはどう変わるのか
社会保険に加入すると、給与から健康保険料と厚生年金保険料が天引きされます。
そのため、加入直後は手取りが減ったように感じやすいです。
ただし、社会保険に入ることで次のような保障が増えます。
- 将来の老齢厚生年金が増える
- 病気やけがで働けないときの保障が広がる
- 障害厚生年金の対象になる
- 遺族厚生年金の対象になる
ここは「今の手取り」と「将来の保障」を分けて考えるところです。
短期的な手取りだけを見ると負担に感じても、長期的には老後資金や万一の保障に関わります。
よくある誤解
106万円を超えなければ社会保険に入らない
2026年10月以降は、この見方が通用しにくくなります。
月額8.8万円の賃金要件が廃止予定なので、週20時間以上働くかどうかがより大きな判断材料になります。
130万円の壁もなくなる
130万円の壁は、配偶者などの社会保険扶養から外れるかどうかに関係します。
106万円の壁と130万円の壁は、同じ「年収の壁」と呼ばれていても、制度上は別の話です。
パートなら社会保険に入らない
パート・アルバイトでも、条件を満たせば社会保険に加入します。
働き方を決めるときは、時給や年収だけでなく、勤務時間、勤務先の規模、扶養の扱いを確認しましょう。
家計と資産形成で見るポイント
社会保険の加入は、家計にとって短期と長期で見え方が変わります。
短期では、保険料の天引きで手取りが減ることがあります。
長期では、厚生年金や健康保険の保障が増えます。
資産形成を考えるなら、次の順番で見ると整理しやすくなります。
- 公的年金と社会保険
- 勤務先の企業年金や福利厚生
- NISA
- iDeCo
- 預金
厚生年金は、投資の代わりではありません。ただ、老後資金の土台にはなります。
NISAやiDeCoで増やす前に、自分がどの社会保険に入るのかを確認しておくと、家計全体の見通しが立てやすくなります。
まとめ
2026年の社会保険加入条件では、パート・アルバイトの「106万円の壁」の見方が変わります。
押さえておきたいポイントは次の通りです。
- 2026年10月から月額8.8万円の賃金要件は廃止予定
- 今後は週20時間以上働くかどうかがより重要
- 企業規模要件は段階的に縮小される
- 130万円の扶養基準は引き続き重要
- 手取りだけでなく、将来の年金と保障も含めて考える
働き方を選ぶときは、「いくらまでなら扶養内か」だけでなく、「社会保険に入ると何が増えるのか」まで確認しましょう。
出典・参考資料
- 厚生労働省「年金社会保険の加入対象の拡大について」
- 厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 確認日: 2026-06-11