決算サマリー
売上高は小幅減にとどまったが、経常利益と純利益の落ち込みが大きい。第14期から収益認識基準を適用し、中小企業の会計に関する基本要領から一般に公正妥当と認められる企業会計基準へ処理方法を変更している。
| 項目 | 2024年6月期 | 2023年6月期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 125.42億円 | 126.82億円 | △1.1% | 開示なし | 算定不可 |
| 営業利益 | 1.47億円 | 開示なし | 算定不可 | 開示なし | 算定不可 |
| 経常利益 | 0.33億円 | 0.70億円 | △53.1% | 開示なし | 算定不可 |
| 純利益 | 0.11億円 | 0.43億円 | △73.4% | 開示なし | 算定不可 |
| EPS | 2.08円 | 7.84円 | △73.5% | - | - |
営業利益率は1.2%、経常利益率は0.3%だった。支払利息1.20億円が営業利益の大半を吸収し、純利益は0.11億円まで縮小した。
セグメント
同社は投資不動産事業の単一セグメントである。サービス別利益は開示していないが、顧客との契約から生じる収益は次のように分解されている。
| サービス区分 | 売上高 | 構成比 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 投資用マンション売上 | 109.96億円 | 87.7% | 非開示 |
| 賃料・建物管理業務売上 | 13.43億円 | 10.7% | 非開示 |
| 不動産仲介売上 | 0.55億円 | 0.4% | 非開示 |
| その他 | 1.48億円 | 1.2% | 非開示 |
開示区分の合計は全社売上高を2千円下回るが、資料上の端数差である。管理業務は売上の10.7%を占めた一方、物件販売への依存はなお高い。全社営業利益1.47億円をサービス別に配分することはできない。
財務安全性
総資産123.33億円に対し純資産は5.13億円、自己資本比率は4.2%だった。会計方針変更の累積的影響額3.20億円が期首純資産から減額されている。営業CFは△27.79億円、投資CFは△0.61億円で、フリーCFは△28.40億円。売上債権が9.18億円、棚卸資産が19.70億円増加し、財務CF27.58億円で資金流出を補った。期末現金同等物は4.91億円に減少した。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | △73.5% | 2023年6月期比 | 7.84円から2.08円へ低下 |
| ROE | 1.7% | 前期6.5% | 会社開示値 |
| ROIC | 開示なし | - | 投下資本の公式開示なし |
| PER推移 | 算定不可 | 当時は非上場 | 市場株価なし |
利益率とROEが低下し、営業CFも大幅赤字となった。売上の横ばいだけを見れば安定しているように映るが、資金面は逆である。
ポジティブ要因
売上規模の維持
売上高は前年比1.1%減の125.42億円で、前年とほぼ同水準を維持した。投資用マンション売上は109.96億円だった。
継続収入の確保
賃料・建物管理業務売上は13.43億円、構成比10.7%となった。物件販売後の管理契約は、販売以外の収益基盤として機能している。
営業黒字の維持
売上総利益20.79億円に対し、販管費19.32億円を吸収して営業利益1.47億円を確保した。本業は赤字化を免れた。
リスク要因
営業キャッシュ・フローの赤字
営業CFは△27.79億円だった。棚卸資産19.70億円増と売上債権9.18億円増が主因で、販売と回収のタイミングが資金繰りを圧迫した。
借入依存と金利負担
財務CFは27.58億円の流入となり、営業・投資活動の資金流出を借入などで補った。支払利息1.20億円は営業利益1.47億円に近い。
自己資本の薄さ
自己資本比率は4.2%で、前期8.8%から低下した。会計方針変更の影響を含むとはいえ、販売用不動産の価格変動を吸収する余力は小さい。
利益の急減
経常利益は53.1%減、純利益は73.4%減だった。営業黒字でも、支払利息など営業外費用が最終利益を削る構造が表れている。
業界動向との関連
投資用マンション会社は、用地取得から販売まで棚卸資産を抱え、引き渡し前に資金負担が先行する。2024年6月期はその特徴が営業CF△27.79億円に表れた。管理売上は一定の安定性を持つが、投資用マンション売上が87.7%を占めるため、物件回転が止まれば資金負担を相殺しにくい。
株価への示唆
2024年6月期時点で同社は非上場であり、PER推移や理論株価は算定できない。後日の上場評価でこの年度を参照する場合、EPS2.08円だけでなく、営業CF△27.79億円と自己資本比率4.2%をセットで見る必要がある。翌期に棚卸資産を販売へ転換し、借入返済まで進められるかが評価修正の条件となる。
今期の総括
2024年6月期は売上高を125.42億円に保ったが、純利益は0.11億円まで減少した。より重いのは営業CFの大幅赤字である。物件を仕入れて売上をつくる力はあるものの、回収前の資金負担が自己資本の薄さと重なった年度だった。
来期見通し
発行者情報には2025年6月期の当時の会社計画が収録されていない。したがって計画達成度は判定できない。次年度を評価する条件は、投資用マンションの販売増だけではなく、棚卸資産と売上債権の圧縮、営業CFの黒字化、支払利息を上回る営業利益の確保である。
総合判断
総合判断は弱気である。売上高は1.1%減にとどまったが、純利益は73.4%減、営業CFは△27.79億円、自己資本比率は4.2%だった。利益の薄さと資金回収の遅れが同時に出ており、翌期に営業CFを反転できるかを確認するまでは慎重な評価が妥当である。
出典
- レイシャス「発行者情報」(2026年8月4日公表、2024年6月期の財務諸表を収録)
- レイシャス「IR情報」
- 日本取引所グループ「TOKYO PRO Market 新規上場会社情報」