決算サマリー
投資用マンション販売の拡大で増収となり、販管費の伸びを抑えたことで営業利益は2.4倍になった。経常利益と純利益も低い前年水準から大きく回復した。
| 項目 | 2025年6月期 | 2024年6月期 | 増減率 | 次期会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 157.16億円 | 125.42億円 | +25.3% | 開示なし | 該当なし |
| 営業利益 | 3.60億円 | 1.47億円 | +144.8% | 開示なし | 該当なし |
| 経常利益 | 1.77億円 | 0.33億円 | +443.1% | 開示なし | 該当なし |
| 純利益 | 1.03億円 | 0.11億円 | +796.0% | 開示なし | 該当なし |
| EPS | 18.66円 | 2.08円 | +797.1% | - | - |
営業利益率は前年の1.2%から2.3%へ上昇した。増益率は大きいが、前年利益が低かった反動も含む。
セグメント
同社は投資不動産事業の単一セグメントである。サービス別売上は開示されているが、サービス別営業利益は開示していない。
| サービス区分 | 売上高 | 前期売上高 | 増減率 | 構成比 | 営業利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 投資用マンション売上 | 138.54億円 | 109.96億円 | +26.0% | 88.2% | 非開示 |
| 賃料・建物管理業務売上 | 15.17億円 | 13.43億円 | +12.9% | 9.7% | 非開示 |
| 不動産仲介売上 | 1.36億円 | 0.55億円 | +146.1% | 0.9% | 非開示 |
| その他 | 2.09億円 | 1.48億円 | +41.4% | 1.3% | 非開示 |
開示区分の合計は全社売上高を2千円下回るが、資料上の端数差である。全区分が増収となり、主力の投資用マンション売上が全体の伸びを牽引した。全社営業利益3.60億円は会社全体の実績であり、各サービスへ配分した数値ではない。
財務安全性
総資産121.34億円、純資産6.15億円で、自己資本比率は前年の4.2%から5.1%へ改善した。それでも自己資本は薄い。営業CFは15.00億円、投資CFは△0.05億円で、フリーCFは14.96億円の黒字となった。棚卸資産3.20億円減と買掛金9.34億円増が営業CFを押し上げ、財務CFは△12.11億円。長期借入金の純減少を進め、現金同等物は7.75億円へ増えた。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +797.1% | 2024年6月期比 | 2.08円から18.66円へ回復 |
| ROE | 18.2% | 前期1.7% | 会社開示値 |
| ROIC | 開示なし | - | 投下資本の公式開示なし |
| PER推移 | 算定不可 | 当時は非上場 | 市場株価なし |
EPSとROEは急回復した。ただし純資産が小さいためROEが高く出やすく、営業利益率2.3%と自己資本比率5.1%も併せて見る必要がある。
ポジティブ要因
投資用マンション販売の拡大
投資用マンション売上は26.0%増の138.54億円となった。自社ブランドの供給は期末までに累計101棟へ達し、全社増収を牽引した。
販管費の吸収
売上総利益は23.37億円、販管費は19.77億円だった。販管費の増加を売上総利益の伸びが上回り、営業利益率は1.2%から2.3%へ改善した。
営業キャッシュ・フローの反転
営業CFは前年の△27.79億円から15.00億円の黒字へ転じた。棚卸資産の減少と買掛金の増加が寄与し、長期借入金の返済を進めた。
管理・仲介収入の増加
賃料・建物管理業務売上は12.9%増、不動産仲介売上は146.1%増だった。物件販売以外の区分も増収となっている。
リスク要因
自己資本比率の低さ
自己資本比率は5.1%で、改善後も低い。純資産6.15億円に対して負債は115.20億円あり、在庫評価や販売遅延の影響を吸収する余力は限られる。
営業キャッシュ・フローの変動
営業CFの改善は大きいが、棚卸資産の減少と買掛金の増加が寄与した。物件仕入れが再び先行すれば、翌期の営業CFが同水準を維持するとは限らない。
支払利息の負担
支払利息は1.49億円で、営業利益3.60億円の41.4%に相当する。金利上昇は自社の資金調達と顧客の投資判断の双方へ作用する。
顧客・引き渡しの集中
NST向け売上は20.04億円で、全社売上高の12.8%を占めた。物件販売では大口取引や引き渡し時期が年度業績を動かしやすい。
業界動向との関連
会社は都心部の賃貸需要を堅調とする一方、建築資材価格と金利変動を懸念材料に挙げている。入居率98%は管理面の支えだが、土地・建物取得費は売上原価の大半を占める。販売価格へ転嫁できない場合、2.3%の営業利益率は圧迫されやすい。
株価への示唆
2025年6月期時点で同社は非上場であり、市場株価とPER推移はない。後日の上場評価では、EPS18.66円の急伸だけを基準にすると前年の低利益を見落とす。利益と営業CFの回復が翌期も続き、自己資本比率が上向く場合は評価の安定材料になり得るが、物件仕入れで再び営業CFが悪化する場合は財務リスクが意識されやすい。
今期の総括
2025年6月期は25.3%増収、144.8%営業増益となり、営業CFも黒字へ反転した。前年の資金先行から販売・回収へ移った点は明確である。ただし利益率は2.3%、自己資本比率は5.1%。回復した利益を財務基盤へ積み上げる途上にある。
来期見通し
2026年6月期の会社業績予想は発行者情報に記載されていない。会社は開発地域の拡大、海外顧客向け販売、不動産証券化、保険事業の拡充を課題としている。計画値がないため、次の中間・通期開示では物件引き渡し、棚卸資産、借入金、営業CFの組み合わせから進捗を判断する必要がある。
総合判断
総合判断は中立である。売上高25.3%増、営業利益144.8%増、営業CF15.00億円への反転は改善を示す。一方、自己資本比率5.1%と支払利息1.49億円は軽くない。利益回復を一過性の物件引き渡しで終わらせず、純資産と管理収入へつなげられるかが次の確認点となる。
出典
- レイシャス「発行者情報」(2026年8月4日公表、2025年6月期の財務諸表を収録)
- レイシャス「IR情報」
- 日本取引所グループ「TOKYO PRO Market 新規上場会社情報」