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第2号被保険者とは

日本の公的年金制度には、国民年金の加入区分として3つの被保険者種別があります。

区分主な対象主な加入制度
第1号被保険者自営業者、フリーランス、学生、無職の人など国民年金
第2号被保険者会社員、公務員など国民年金+厚生年金
第3号被保険者第2号被保険者に扶養される配偶者国民年金

第2号被保険者は、勤務先を通じて厚生年金保険に加入している人です。

会社員は「厚生年金だけ」に入っているように見えますが、実際には厚生年金に入ることで国民年金にも加入している扱いになります。

第2号被保険者
= 厚生年金に加入
= 国民年金にも加入

老後の年金
= 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金

ここが最初につまずきやすいところです。

自営業者やフリーランスは、原則として第1号被保険者として国民年金に入ります。会社員や公務員は、原則として第2号被保険者として国民年金と厚生年金の両方に入ります。

「第2号被保険者」と「第2号厚生年金被保険者」は違う

少し細かいですが、年金資料を読むときに混乱しやすい点があります。

この記事で扱う「第2号被保険者」は、国民年金の被保険者種別の話です。

一方、厚生年金の世界にも「第1号厚生年金被保険者」「第2号厚生年金被保険者」といった区分があります。こちらは民間会社員、公務員、私学教職員など、厚生年金の実施機関の区分に近い話です。

言葉意味
国民年金の第2号被保険者会社員・公務員など、厚生年金に加入する人
第2号厚生年金被保険者国家公務員共済組合員に関する厚生年金側の区分

一般の家計管理や老後資金の記事で「第2号被保険者」と言う場合、多くは国民年金の第2号被保険者を指します。本記事もこの意味で使います。

第2号被保険者になる人

第2号被保険者の中心は、会社員と公務員です。

代表的には、次のような人です。

  • 民間企業の正社員
  • 公務員
  • 私立学校の教職員
  • 一定条件を満たすパート・アルバイト
  • 70歳未満で厚生年金に加入している人

日本年金機構は、第2号被保険者について、70歳未満の会社員や公務員など厚生年金の加入者と説明しています。

なお、65歳以上の厚生年金加入者で、老齢基礎年金など老齢または退職を支給事由とする年金給付の受給権がある人は、第2号被保険者とはなりません。

つまり、会社に勤めていれば年齢に関係なく必ず第2号、というわけではありません。年齢、勤務先、勤務時間、厚生年金の加入要件によって扱いが変わります。

第2号被保険者のメリット

第2号被保険者には、家計上の大きなメリットがあります。

1. 老齢厚生年金が上乗せされる

第1号被保険者は、老後の公的年金が基本的に老齢基礎年金中心です。

第2号被保険者は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金があります。

加入区分老後の主な年金
第1号被保険者老齢基礎年金
第2号被保険者老齢基礎年金+老齢厚生年金
第3号被保険者老齢基礎年金

老齢厚生年金は、加入期間や現役時代の報酬に応じて変わります。長く厚生年金に加入し、標準報酬が高い期間が長いほど、将来の厚生年金部分は増えやすくなります。

ただし、厚生年金に入っていれば老後資金が必ず十分になる、という意味ではありません。住居費、退職金、配偶者の年金、医療・介護費、物価上昇で必要額は変わります。

2. 保険料を事業主と折半する

厚生年金保険料は、本人と事業主が半分ずつ負担します。

2026年6月時点で、厚生年金保険料率は18.3%です。

例えば標準報酬月額30万円の場合、計算は次のようになります。

項目計算金額
厚生年金保険料300,000円 × 18.3%54,900円
本人負担54,900円 ÷ 227,450円
事業主負担54,900円 ÷ 227,450円

給与明細に出てくるのは、主に本人負担分です。そのため、実際の制度負担より軽く見えることがあります。

ただし、会社負担分は会社にとって人件費です。社会保険料は、給与、賞与、採用、価格設定、利益率を見るうえで無視できないコストになります。

3. 障害厚生年金・遺族厚生年金の対象になる

厚生年金に加入していると、老後だけでなく、障害や死亡時の保障も厚くなります。

代表的には、次の制度があります。

  • 障害厚生年金
  • 遺族厚生年金

国民年金にも障害基礎年金や遺族基礎年金があります。ただし、厚生年金に加入していると、要件を満たす場合に厚生年金側の上乗せ給付も関係します。

ここは家計にとってかなり大事です。

年金というと老後のイメージが強いですが、現役世代にとっては、病気やけがで働けなくなるリスク、家計を支える人が亡くなるリスクへの備えでもあります。

保険料はどう決まるのか

厚生年金保険料は、単純な「手取り」や「実際の月収」にそのまま18.3%を掛けるわけではありません。

基本になるのは、標準報酬月額と標準賞与額です。

項目内容
標準報酬月額毎月の給与などを一定の等級に当てはめたもの
標準賞与額賞与額をもとに保険料を計算するもの
保険料率厚生年金は18.3%
負担方法本人と事業主で折半

給与明細では、厚生年金保険料が毎月天引きされます。自営業者の国民年金保険料のように、自分で納付書や口座振替で納める形ではありません。

ここで注意したいのは、保険料が高いほど将来の厚生年金も増えやすい一方、現役時代の手取りは減ることです。

社会保険料は、単なる税金のように「取られるだけ」のものではありません。将来の年金や、障害・遺族保障につながる保険料です。ただし、手取りに影響する現実もあります。

両方を見た方がいいです。

第2号被保険者と第3号被保険者の関係

第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養される配偶者です。

つまり、第3号被保険者制度は、第2号被保険者が加入する厚生年金制度と強く結びついています。

第3号被保険者本人は、国民年金保険料を直接納めません。ただし、その基礎年金は厚生年金制度全体や国庫負担によって支えられています。

ざっくり見ると、次の構造です。

第2号被保険者
  ↓ 厚生年金保険料
事業主
  ↓ 事業主負担
厚生年金制度全体
  ↓
第3号被保険者の基礎年金も支える

このため、第3号被保険者制度の見直し議論では、第2号被保険者や企業の負担との公平性が論点になります。

自営業者の配偶者は第3号になれず、第1号として国民年金保険料を負担することがあります。共働き会社員は夫婦それぞれが厚生年金保険料を負担します。一方で、第3号被保険者は本人が国民年金保険料を直接納めません。

制度の出発点には合理性がありましたが、共働き世帯が増えた今は、負担と給付の見え方が問われています。

社会保険適用拡大で第2号被保険者は増えやすい

近年は、短時間労働者への社会保険適用拡大が進んでいます。

これまで配偶者の扶養内で働いていた人でも、勤務条件によっては厚生年金・健康保険に加入し、第2号被保険者になるケースがあります。

厚生労働省は、2025年の年金制度改正により、短時間労働者の企業規模要件を10年かけて段階的に縮小・撤廃し、賃金要件も法律公布から3年以内に撤廃する方向だと説明しています。

現在から今後にかけて見たい条件は、次のあたりです。

条件見方
週の所定労働時間20時間以上か
企業規模要件段階的に縮小・撤廃される
賃金要件月額8.8万円以上の要件は撤廃方向
学生かどうか学生は被用者保険の加入対象外として扱われる点に注意
雇用見込み一定期間を超えて働く見込みがあるか

これは「扶養内で働けなくなる」という一言では片づきません。

社会保険に入ると、本人負担の保険料が発生し、短期の手取りが減ることがあります。一方で、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金など、保障は厚くなります。

扶養を外れるかどうかは、手取りだけでなく、働ける時間、将来年金、健康保険の保障、家族構成で見た方が現実的です。

家計ではどう考えればよいか

第2号被保険者であることは、老後資金づくりの土台になります。

ただ、土台があるから何もしなくていい、という話ではありません。

1. ねんきん定期便を確認する

毎年届くねんきん定期便で、加入実績と年金見込み額を確認します。

第2号被保険者は、勤務先や給与の変化で将来の年金額も変わります。転職、時短勤務、休職、退職時期によって数字は動きます。

2. ねんきんネットで働き方別に試算する

今の働き方を続ける場合、60歳以降も働く場合、退職を早める場合で、年金見込み額は変わります。

感覚で判断するより、ねんきんネットで一度試算した方が早いです。

3. 企業年金・iDeCo・NISAを分けて考える

第2号被保険者には厚生年金がありますが、それだけで老後資金が十分とは限りません。

上乗せ部分として、次の制度や資産を確認します。

  • 企業年金
  • 企業型DC
  • iDeCo
  • 新NISA
  • 退職金
  • 預貯金

厚生年金は公的年金の2階部分です。企業年金やiDeCoは、その外側の上乗せと考えると整理しやすくなります。

4. 投資は生活防衛資金と分ける

新NISAやiDeCoは資産形成に役立つ制度ですが、投資商品には価格変動があります。

厚生年金がある人でも、近いうちに使うお金や緊急資金まで投資に回すのは危険です。生活防衛資金、保険、公的保障、長期投資の役割を分けることが大切です。

投資家が知っておきたい視点

厚生年金は、個人の老後制度であると同時に、企業のコスト構造にも関係します。

特に社会保険適用拡大は、次の業種で影響が出やすいテーマです。

  • 小売業
  • 外食業
  • 介護
  • 物流
  • 人材サービス
  • 清掃、警備など労働集約型サービス

パート・アルバイト比率が高い企業では、社会保険加入対象者が増えると、事業主負担も増えます。

決算を見るときは、売上高の伸びだけでなく、次の項目も確認したいところです。

見る項目理由
人件費率社会保険料を含む労務コストが上がっているか
販管費率採用費、教育費、福利厚生費の増加を見る
粗利率コスト増を価格転嫁できているか
店舗・拠点あたり利益人件費増を吸収できているか
パート比率適用拡大の影響を受けやすいか

社会保険適用拡大は、働く人にとっては保障の拡充です。企業にとっては、人材確保の武器にもなります。

ただし、利益率が薄い企業では、保険料負担の増加がじわっと効きます。売上が伸びていても、人件費と社会保険料を吸収できなければ、営業利益率は上がりにくい。投資家はここを見る必要があります。

よくある誤解

誤解1:会社員は厚生年金だけに入っている

会社員や公務員は、厚生年金に加入すると同時に、国民年金にも加入している扱いになります。老後は、条件を満たせば老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取ります。

誤解2:会社負担分は自分に関係ない

給与明細には本人負担分しか見えにくいですが、事業主負担分も企業の人件費です。賃金、採用、価格設定、利益率に関係します。

誤解3:厚生年金に入れば老後資金は必ず十分

厚生年金は強い土台ですが、加入期間や報酬、退職時期で年金額は変わります。住居費、医療費、介護費、物価上昇もあるため、自分の見込み額を確認する必要があります。

誤解4:パートは第2号被保険者にならない

パート・アルバイトでも、勤務時間や勤務先の条件を満たせば厚生年金・健康保険に加入し、第2号被保険者になることがあります。社会保険適用拡大で、この対象は広がる方向です。

誤解5:社会保険加入は手取りが減るだけ

短期の手取りは減ることがあります。ただし、将来の厚生年金や障害・遺族保障、健康保険の給付が厚くなる面もあります。手取りと保障を分けて見る必要があります。

まとめ

第2号被保険者とは、会社員や公務員など、厚生年金に加入している人を指します。

厚生年金に加入すると、国民年金にも加入している扱いになり、老後は老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方が関係します。第1号被保険者や第3号被保険者と比べると、厚生年金の上乗せがある点が大きな違いです。

厚生年金保険料率は18.3%で、本人と事業主が折半します。標準報酬月額30万円なら、本人負担は27,450円です。給与明細では負担に見えますが、老後、障害、遺族保障につながる保険料でもあります。

これからは、社会保険適用拡大により、短時間労働者が第2号被保険者になるケースが増えやすくなります。家計では手取りと保障、投資家目線では人件費率と利益率をセットで見ることが重要です。

出典

本記事は、2026年6月16日時点の日本年金機構および厚生労働省の公開情報を基に作成しています。年金制度、社会保険の加入要件、保険料率、年金額は変更されることがあるため、実際の手続きや家計判断では勤務先、日本年金機構、年金事務所、社会保険労務士などに確認してください。

  • 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」更新日:2023年4月3日
  • 日本年金機構「第2号被保険者」更新日:2023年11月22日
  • 日本年金機構「厚生年金保険料額表」
  • 厚生労働省「年金社会保険の加入対象の拡大について」
  • 厚生労働省「年収の壁への対応」
本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。