NASDAQ「23時間取引」で何が変わる? 日本の昼間にも、米国株を売買できる時間帯が広がる見込み ナイト 11:00〜18:00 日本・冬時間 プレ市場 18:00〜23:30 通常取引 23:30〜翌6:00 アフター 6:00〜10:00 休止 1時間 日本の日中 米国株を売買しやすくなる 取引機会が増加 アジア時間のニュースにも反応 ただし注意 薄い板・広いスプレッド 「23時間開いている」=「23時間いつでも有利に売買できる」ではない kabutrack.com

まず結論:2026年12月開始予定、ただし「確定」とはまだ言えない

NASDAQは、米国株市場の取引時間を1日23時間・週5日へ拡大する計画を進めています。

SEC(米証券取引委員会)は2026年4月10日、NASDAQが提出していた23時間取引への規則変更を承認しました。

一方で、ここで注意したいのが「2026年12月6日」という日付の意味です。

市場全体の株価・約定情報を集約するUTP SIPは、2026年12月6日から23時間運用を開始する予定と正式に案内しています。日曜日21:00から金曜日20:00まで稼働し、平日は20:00〜21:00ごろに1時間のメンテナンス時間を設ける計画です。

ただし、NASDAQ自身のナイト・セッションには追加条件があります。

SECが承認したNASDAQのルールでは、ナイト・セッションを開始する前に、市場データを扱うEquity Data Plansが夜間時間帯の情報配信に対応できることを確認し、NASDAQが追加の規則変更を提出することが条件になっています。

そのため、2026年8月11日時点では、

「12月6日に市場データ基盤が23時間化する予定で、NASDAQも2026年12月の23時間取引開始を目指している」

と理解するのが正確です。

「12月6日にNASDAQ株式市場の23時間取引が必ず開始する」と断定する段階ではありません。

23時間取引の仕組み

NASDAQが計画している取引時間は、米国東部時間で21:00から翌20:00までです。

ただし、23時間が1つの連続したセッションになるわけではありません。

NASDAQでは大きく「ナイト・セッション」と従来の「デイ・セッション」に分かれます。

区分米東部時間日本時間(冬時間)日本時間(夏時間)
ナイト・セッション21:00〜翌4:0011:00〜18:0010:00〜17:00
プレマーケット4:00〜9:3018:00〜23:3017:00〜22:30
通常取引9:30〜16:0023:30〜翌6:0022:30〜翌5:00
アフターマーケット16:00〜20:006:00〜10:005:00〜9:00
休止20:00〜21:0010:00〜11:009:00〜10:00

NASDAQのルール上、ナイト・セッションは米東部時間21:00〜翌4:00、デイ・セッションは4:00〜20:00です。20:00〜21:00は取引を停止し、翌取引日に向けた処理などを行います。

つまり、「24時間365日いつでも米国株を売買できる」仕組みではありません。

平日のほぼ1日をカバーする23時間取引です。

また、日本との時差は米国の夏時間・冬時間によって1時間変わります。

日本ではいつ取引できるようになる?

日本の投資家にとって最も大きな変化は、これまで米国株市場が実質的に閉まっていた日本の昼間にNASDAQのナイト・セッションが重なることです。

冬時間なら、

日本時間11:00〜18:00

がNASDAQのナイト・セッションに相当します。

夏時間なら、

10:00〜17:00

です。

つまり、制度が実際に利用できるようになれば、会社員の昼休みや日本株市場の取引時間中にも米国株価格がNASDAQ上で動くことになります。

これまで米国株のリアルタイム取引というと、日本では夜間が中心でした。

23時間取引では、この感覚が大きく変わります。

日本の投資家には何が変わる?

最大のメリットは、米国市場が開くまで待つ時間が短くなることです。

たとえば日本や中国などアジア時間に、

  • 企業の重要ニュース
  • 地政学リスク
  • 各国の経済指標
  • 半導体・AI関連ニュース
  • 為替や商品市場の大きな変動

などが発生した場合、NASDAQのナイト・セッションで米国株価格が反応する可能性があります。

SECの承認文書でも、NASDAQはアジアなど海外投資家から夜間取引への需要が高まっていることを23時間化の背景として挙げています。

これまでなら「米国市場が開くまで待つ」しかなかった場面でも、取引機会が生まれるわけです。

ただし、

「NASDAQが開いている」ことと「日本の証券口座から取引できる」ことは別です。

Investor.govも、時間外取引の利用可能時間や注文条件は証券会社によって異なるため、利用者自身が証券会社へ確認する必要があると説明しています。

日本の証券会社がNASDAQのナイト・セッションへ接続し、

  • 対象銘柄
  • 注文受付時間
  • 注文方法
  • 手数料
  • 為替決済
  • 注文の繰越ルール

などを整備して初めて、投資家が利用できます。

NASDAQが23時間化した日から、日本のすべての証券会社で23時間取引できるわけではありません。

「NASDAQ銘柄だけ」が対象ではない

ここも誤解しやすいポイントです。

NASDAQの23時間取引は、単純に「AppleやNVIDIAなどNASDAQ上場企業だけを夜間取引できる」という仕組みではありません。

SECが承認したルールは、NASDAQで取引可能なNMS株式を対象としています。

そのため、NASDAQ上場株だけではなく、条件を満たしNASDAQ市場で売買されるNYSE上場株やETFなども対象になり得ます。

ただし、実際に日本の投資家が売買できる銘柄は、利用する証券会社がどこまで取り扱うかによって変わります。

NASDAQで取引可能=自分の証券会社でも取引可能

ではない点には注意が必要です。

便利でも、夜間価格をそのまま信じない

取引時間が増えること自体は便利ですが、ナイト・セッションには通常取引とは異なるリスクがあります。

特に重要なのが、

「価格が表示されていること」と「その価格で十分な数量を売買できること」は別

という点です。

Investor.govは時間外取引について、通常取引と比較して流動性が低くなりやすく、価格変動が大きくなったり、売値と買値の差であるスプレッドが広がったりする可能性を指摘しています。

図にすると、次のような違いです。

同じ「100ドル」でも、売買しやすさは違う 通常取引 買 99.99 売 100.01 スプレッドが狭い 注文量が多く、売買が成立しやすい 夜間取引 買 99.50 売 100.50 スプレッドが広がる可能性 注文が少なく、不利な価格になりやすい ※価格は仕組みを説明するための例

たとえば画面上の株価が100ドル前後でも、

通常取引なら、

買値99.99ドル 売値100.01ドル

程度の差しかない場面が、

参加者の少ない時間帯では、

買値99.50ドル 売値100.50ドル

のように大きく開く可能性があります。

この差が「スプレッド」です。

時間外取引では流動性が低下するとスプレッドが広がりやすく、表示価格が通常取引開始後の価格を必ずしも予測するものではないこともSECが注意喚起しています。

指値注文でも「安心」とは限らない

NASDAQのナイト・セッションでは、価格を指定する注文が中心になります。

指値注文なら「想定外の高値で買ってしまう」というリスクを抑えやすくなりますが、その代わり、

価格が合わなければ約定しません。

たとえば、

「100ドル以下なら買う」

という指値を出しても、最も安い売り注文が100.50ドルなら取引は成立しません。

反対に「どうしても買いたい」と考えて指値を101ドル、102ドルと引き上げていけば、流動性の低い時間帯では通常取引より不利な価格で約定する可能性があります。

夜間取引では、

株価そのものより、買値・売値・注文数量を見る

ことが重要になります。

取引時間が増えるほど「売買しすぎ」にも注意

23時間取引でもう1つ意識したいのが、投資行動そのものです。

これまでは市場が閉まっていた時間には、物理的に売買できないという制約がありました。

23時間取引ではその制約が弱くなります。

ニュースが出るたびに、

「今すぐ買わなければ」

「下がっているから売らなければ」

と反応しやすくなる可能性があります。

しかし、売買できる時間が増えることと、投資機会が23倍になることは同じではありません。

長期投資を目的としているなら、NASDAQが23時間開いていても、ポートフォリオを23時間監視する必要はありません。

取引時間の拡大は「必要なときに取引できる選択肢が増える」と考える程度が適切です。

まとめ

NASDAQは、米国株市場を1日23時間・週5日取引できる体制へ移行する計画を進めています。

SECは2026年4月10日にNASDAQの23時間取引に関する規則変更を承認しました。

また、市場データを集約・配信するUTP SIPは、2026年12月6日から23時間体制へ移行する予定です。

一方、NASDAQ自身のナイト・セッション開始には、市場データ基盤の準備確認と追加の規則変更が必要です。

予定どおり実現すれば、日本では冬時間なら11:00〜18:00、夏時間なら10:00〜17:00にNASDAQのナイト・セッションが重なり、米国株を日中に取引できる機会が大きく広がります。

ただし、

「NASDAQが23時間開く」 = 「日本の証券会社ですぐ23時間取引できる」

ではありません。

さらに、時間外取引では通常取引より流動性が低くなり、スプレッドの拡大や価格変動、約定しにくさといったリスクがあります。

便利になるのは確かですが、

いつでも売買できることと、いつでも有利な価格で売買できることは別です。

開始日だけを見るのではなく、自分が利用する証券会社の対応時間、対象銘柄、注文方法、手数料まで確認したうえで利用することが重要です。

出典

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