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第7章:実企業で読む社債・財務戦略 / 第37回

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代表的な発行例

2026年9月時点の会社開示には、国内の普通社債、米ドル建て無担保社債、ユーロ円建債、サステナビリティボンドなどが掲載されています。代表例を抜き出すと次の通りです。

発行例発行時期・額年限・利率読みどころ
第25回無担保社債2025年8月・1,300億円が残存3年・2.336%普通社債の償還負担
サステナビリティボンド2025年7月・各150億円3年・5年5G関連投資への資金使途
円建て永久劣後債2025年10月・820億円満期なし米ドル建て永久劣後債の置き換え、資本性

一覧は発行額だけでなく、残存額、償還年、利率、資金使途を同じ表で追うと意味が読みやすくなります。

1. モバイル・5G投資の資金を確保する

楽天グループは2025年のサステナビリティボンドについて、手取金を5G関連投資へ充当すると説明しています。

通信ネットワークは基地局や設備など先行投資が大きく、投資回収には時間がかかります。

そのため、短期資金だけでなく数年単位の社債を組み合わせることには、投資期間と資金調達期間を合わせる意味があります。

2. 大きな償還額を借り換える

新規発行額だけでなく、既存社債の償還も見ます。

会社は2026年度第2四半期に、4月に米ドル建永久劣後債、6月に円建シニア債を全額償還したと説明しています。

また、2026年の社債償還については全額資金手当て済みとし、2027年以降も多様な資金調達手段で対応する方針です。

つまり、新しい社債発行の一部は「負債を増やす」というより、古い負債を新しい資金へ置き換えるリファイナンスとして読む場面です。

3. 円市場だけに依存しない

楽天グループは過去に米ドル建て社債も発行しています。

会社の社債情報では、2024年発行の2027年満期米ドル建無担保社債や2029年満期米ドル建無担保社債について、通貨スワップ後の加重平均利率も開示しています。

海外市場を使うことで調達先を広げられますが、外貨調達では為替やヘッジコストも負担になります。

4. 永久劣後債で資本性も意識する

楽天グループは2025年10月、820億円の円建永久劣後債を発行しました。

会社はこの資金を、2021年発行の米ドル建永久劣後債のリプレイスメントに使う予定と説明し、新しい永久劣後債について格付会社から従来債と同等の資本性認定を受けたとしています。

これは普通社債だけでなく、負債と資本の中間的な資金調達手段を財務戦略に組み込んでいる例です。

5. 本業のキャッシュ創出力

2026年12月期第2四半期では、連結EBITDAが1,153億円となり、第2四半期として過去最高と会社は説明しています。返済能力を読むときは、資産売却だけでなく、本業のキャッシュ創出力も見ます。

残高ではなく返済原資を見る

社債残高が大きいことは、将来の利払い・償還負担が大きいことを意味します。

継続的に市場へアクセスし、満期を分散し、借り換え資金を前倒しで確保できれば、資金繰りリスクを抑えられます。

楽天グループでは、社債残高、償還スケジュール、調達手段、事業キャッシュフローを同じ表で追います。

まとめ

楽天の社債ニュースでは、なぜ今発行し、何に使い、どの負債を返すのかを確認します。そこに償還スケジュールと本業のキャッシュフローを重ねると、発行額だけでは分からない財務負担が見えてきます。

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