記事の図解

今日の見方

今回の変更だけで、日本企業の中国事業費が一斉に膨らむわけではありません。中国側のビザ免除は、一般旅券による商業・貿易、観光、親族訪問、交流・訪問、トランジット目的で、中国滞在が30日以内の場合に適用されます。就労、留学、報道などは免除の対象外です。

そのため、短期の商談や現地確認を行う社員は、現在の免除条件に収まる限り、今回の査証料金を直接負担しないケースが多いとみられます。反対に、中国現地法人への駐在、就労許可を伴う赴任、30日を超える滞在などでは、ビザ料金に加えて申請日程や人事手続きの管理負担が残ります。ここは会社ごとに制度の適用を確認する必要があります。

注目ニュース

1. 中国が日本人向けビザ料金を9月14日から変更

中国駐日大使館は9月11日、日本国籍の申請者について、9月14日から査証料金を変更すると公表しました。新料金はシングル1万6,750円、ダブル2万5,100円、半年マルチ3万3,500円、1年マルチ5万250円です。9月14日より前に受理された申請には従前の料金が適用されます。

東京の中国ビザ申請センターが示す普通申請の総額は、ビザ料金と申請手数料を合わせて、シングル2万1,750円、ダブル3万100円、半年マルチ3万8,500円、1年マルチ5万5,250円です。これは税抜きの料金表で、申請手数料に対する税などが別途加わる場合があります。

中国側は今回の変更を「ビザ料金の対等な取り決め」に基づくものと説明しています。日本側も2026年7月1日から、在中国日本大使館に提出する査証申請などの手数料を変更していました。単なる事務手数料の改定というより、日中間の相互措置として受け止める必要があります。

投資家が見る点: 料金そのものが大企業の利益を大きく押し下げる材料とは限りません。市場が見るのは、今回の措置が追加の入国・通関・輸出管理などへ広がるか、また企業側が人的往来の停滞をどの程度リスクとして開示するかです。追加措置は現時点で確認されていないため、未確認の拡大を前提に銘柄を選別する段階ではありません。

2. 短期の商用渡航は年末までビザ免除

中国政府は日本の一般旅券保持者に対する一方的なビザ免除を、2026年12月31日24時まで延長しています。対象は商業・貿易、観光、親族訪問、交流・訪問、トランジットで、滞在は30日以内です。免除条件に合わない場合は、入国前に中国ビザを取得する必要があります。

つまり、短期商談や展示会参加などが常に有料ビザへ切り替わるわけではありません。ただ、制度の期限は明確です。2027年以降に免除が延長されなければ、短期出張を含む渡航コストと事務負担の前提が変わります。逆に延長されれば、今回の料金改定の影響は免除対象外の人員に絞られます。

投資家が見る点: 12月末に近づくにつれ、企業の出張計画、現地展示会、販売・保守体制に変化が出るかを確認します。航空・旅行関連の訪中需要と、中国に販売・生産・研究開発拠点を持つ企業では影響の経路が異なるため、「中国関連株」と一括りにしないことがポイントです。

3. 中国事業は大きいが、企業側の姿勢はすでに選別的

ジェトロによると、外務省の海外進出日系企業拠点数調査で、2024年10月時点の中国進出日系企業の拠点数は3万864拠点でした。世界の国・地域別で最大です。中国に現地拠点を置く日本企業は多く、駐在員や長期滞在者の手続きは一部企業だけの問題ではありません。

一方、ジェトロの2025年度調査では、在中国日系企業の今後1~2年の事業展開について「拡大」と答えた企業は21.3%で過去最低、「現状維持」は64.3%でした。事業縮小または第三国・地域への移転・撤退は合計14.4%です。中国市場を残しつつ、現地化や第三国への販売拡大で対応する企業が多い状況です。

株価材料として見る点: 今回の料金改定は、単独ではコスト増の小さな材料です。ただし、人の移動に関する制度が読みにくくなれば、現地営業、設備立ち上げ、品質管理、研究開発の進め方に影響します。決算説明資料で中国売上高だけを見るのではなく、駐在員数、現地生産比率、販売先の現地化、出張を代替する体制まで確認したいところです。

日本企業への影響を分けて見る

企業活動当面の影響確認する内容
30日以内の商談・貿易ビザ免除の条件内なら直接負担は限定的目的、滞在日数、一般旅券の条件
駐在・就労・長期滞在ビザ料金と手続き負担が発生赴任時期、許可の種類、更新時期
中国での販売・生産・研究開発人員移動の遅れが業務計画に波及する可能性現地人員、出張頻度、代替体制
訪中旅行・航空需要免除の延長有無で需要の前提が変わる2026年12月31日後の制度

ここで注意したいのは、ビザ料金の引き上げと中国事業の採算悪化を直結させないことです。企業業績に効くのは、料金の絶対額よりも、人員配置や商談の延期、現地事業の運営方法が変わるかどうかです。制度変更が続く場合には、予算だけでなく事業計画の修正が必要になる可能性があります。

確認しておきたい日程

  • 2026年9月14日:日本国籍者の中国ビザ新料金を適用。9月14日より前に受理された申請は従前料金。
  • 2026年12月31日24時:中国の日本人向け一方的ビザ免除の延長期限。
  • 2027年以降:ビザ免除が再延長されるか、対象条件が変わるかを確認。

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