記事の図解

年収300万円程度を上限とする案

9月30日の共同通信報道によると、政府が2027年度に先行導入する所得連動型現金給付制度で、対象者の年収上限を300万円程度とする案が浮上しています。

狙いは、税金や社会保険料の負担が重い中低所得の働き手を支援することです。

ただし、「年収300万円以下なら必ず給付される」「300万円を1円超えれば対象外になる」といった具体的な制度設計は現時点では決まっていません。

名称は「就業者負担軽減支援金」

共同通信の報道では、新制度の名称は「就業者負担軽減支援金」です。

原則として1年分をまとめ、毎年秋に支給する構想です。

対象は会社員に限らず、働いて収入を得る高齢者やフリーランスも含める案です。

判定に使う所得や、世帯・個人のどちらを単位にするか、金融所得を含めるかはまだ見えていません。

法案には300万円を直接書かない方向

年収300万円という数字が法案で固定されるわけではない点も押さえておきたいところです。

関連法案では給付対象の年収基準や支給額を定めず、政令で変更できる仕組みにする方向だと報じられています。

現段階の「年収300万円上限」は、政府内で検討中の案です。

飲食料品の消費税率引き下げと一体化

報道によると、法案は飲食料品の消費税率を1%へ引き下げる措置と、所得連動型給付を一本化する構想です。

2027年度と2028年度は、税収1%分に相当する年約6,000億円を給付の原資とし、対象となる働き手の税負担を「実質ゼロ」とする考えが示されています。

報道によると、2029年度以降に税率を元へ戻した後は、支給額を増やす構想です。

税率変更や給付額、財源は法案と国会審議で明らかになります。

10月5日召集の臨時国会へ

政府は10月5日召集予定の臨時国会へ関連法案を提出する方向です。

法案成立には国会審議が必要で、内容が修正される可能性もあります。

そのため現時点では、

  • 年収上限300万円程度
  • 具体的な給付額
  • 所得の判定方法
  • 高齢者・フリーランスの詳細要件
  • 支給時期
  • 財源

は、いずれもまだ決まっていません。

なぜ「働き手」への給付なのか

報道された構想は、所得が低い世帯全般への一律給付とは異なり、働いて所得を得ながら税金や社会保険料を負担している層への支援を中心に据えています。

背景には、一定の所得を得ると社会保険料や税負担が増え、手取りの伸びが小さくなる問題があります。

所得に応じて給付額を調整することで、働くほど手取りが急に減る「崖」を作らない制度設計が論点になります。

300万円で新しい「壁」を作らないか

制度設計上の論点の一つが、年収上限付近で給付をどう減らすかです。

仮に年収300万円までは給付し、300万円を超えた瞬間に全額なくなる仕組みにすると、新たな「年収の壁」が生じる可能性があります。

給付付き税額控除を巡る有識者の提言では、一定の年収を超えた後に給付額を段階的に減らすことで、急激な手取り減少を避ける考え方も示されています。

どの減額方式を採るかは、今後の制度設計で決まります。

9月29日公表の給与分布との関係

国税庁が9月29日に公表した民間給与実態統計調査では、1年を通じて勤務した給与所得者5,163万人のうち、最も人数が多い年収帯は300万円超400万円以下でした。

300万円超400万円以下は15.5%、400万円超500万円以下は15.3%です。

今回検討されている「年収300万円程度」という上限は、給与所得者の最多層より下に位置します。

ただし、新制度の対象にはフリーランスなども含まれ得るため、給与所得者の分布だけから実際の対象人数を算出することはできません。

家計への影響

制度が実施されれば、対象となる中低所得の働き手にとって可処分所得を押し上げる要因になります。

給付額や対象人数しだいで、

  • 食品
  • 日用品
  • 小売
  • 外食
  • 通信
  • 生活サービス

などの個人消費に影響する可能性があります。

一方、財源や対象範囲によってマクロ経済への効果は変わるため、現段階で消費押し上げ額を定量化することはできません。

法案で読むべき点

次の焦点は、所得の判定方法と給付額の減らし方です。年収上限付近で手取りが急減する設計かどうかは、報道の「300万円」という見出しだけでは分かりません。

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出典