決算サマリー

項目当期実績前期実績増減率会社計画進捗率
売上収益1兆7,065億円1兆766億円+58.5%非開示該当なし
Non-GAAP営業利益4,530億円-2,540億円黒字転換非開示該当なし
営業利益4,517億円-2,527億円黒字転換非開示該当なし
当期利益3,707億円-3,433億円黒字転換非開示該当なし
親会社帰属当期利益2,723億円-2,437億円黒字転換非開示該当なし
基本的EPS519.96円-470.97円黒字転換非開示該当なし

通期決算では、会社側は翌第1四半期のレンジ予想を示しているが、年度計画値と達成状況の記載は省略している。進捗率は該当なしとして扱う。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
売上収益営業利益率26.5%前期は赤字メモリ市況改善時の収益レバレッジが大きい。
親会社所有者帰属持分比率25.3%前期末15.7%利益計上と負債削減で改善した。
営業CF4,764億円前期1,951億円利益回復に伴いキャッシュ創出も拡大した。
投資CF-1,730億円前期-2,749億円設備投資負担は残るが、流出額は縮小した。
第4四半期単体売上3,471億円第3四半期4,500億円年度末にかけて大きく減速した。

2026年3月期第1四半期予想は、売上収益2,950億円から3,250億円、営業利益130億円から350億円、親会社帰属四半期利益0億円から140億円である。会社予想は外部環境により変動する可能性がある。

ポジティブ要因

通期黒字転換

前期は営業赤字・親会社帰属赤字だったが、2025年3月期は大幅黒字に転換した。売上増に対して営業利益の改善幅が大きく、販売単価回復局面での固定費レバレッジが効いた決算である。

営業キャッシュ・フローの改善

営業活動によるキャッシュ・フローは4,764億円となり、前期から2,813億円増加した。投資CFは引き続きマイナスだが、営業CFが投資CFを上回っており、資金面では前期より余裕が出ている。

財務体質の改善

親会社所有者帰属持分比率は25.3%となり、前期末の15.7%から9.6ポイント改善した。会社は借入金の返済等により負債が2,332億円減少したと説明している。

リスク要因

第4四半期単体の大幅減速

第4四半期単体は売上収益3,471億円、営業利益371億円で、前四半期比では売上収益が1,029億円、営業利益が856億円減少した。年間では黒字転換したが、年度後半のPC・スマートフォン向け在庫調整を軽視できない。

メモリ市況の循環

フラッシュメモリ市場は出荷量と販売単価が回復したが、同社の業績はNAND価格、需要、為替、競合の供給姿勢に大きく左右される。高い営業利益率は市況が崩れると急速に低下する可能性がある。

普通株式の配当はゼロ予想

2025年3月期の普通株式配当は年間0円、2026年3月期予想も中間0円・期末0円・年間0円である。財務改善は進んだが、普通株主還元の面ではまだ業績回復の果実が見えにくい。

財務安全性

2025年3月末の資産合計は2兆9,197億円、資本合計は7,377億円、親会社所有者帰属持分比率は25.3%だった。現金及び現金同等物は1,679億円で、前期末から197億円減少した。負債減少と資本増加は前向きだが、メモリ事業は設備投資と市況変動の影響が大きく、営業CFの継続性を見たい。

業界動向との関連

キオクシアはNANDフラッシュメモリとSSDを中心とするメモリ事業の単一セグメントである。データセンターおよびエンタープライズ向けSSD製品ではAIインフラ構築から需要が堅調だった一方、PC・スマートフォン向けは年度後半に顧客在庫調整の影響が出た。AI需要の強さと民生向け調整の綱引きが続く。

株価への示唆

通期黒字転換は大きい材料だが、第4四半期単体の減速と翌第1四半期予想の利益レンジは慎重に見る必要がある。市場が次に見るのは、NAND価格の持続、eSSD需要、スマートフォン向け在庫調整、普通株式の配当方針である。

今期の総括

2025年3月期は、フラッシュメモリ市況の回復で損益とキャッシュが大きく改善した年度だった。ただし、回復局面の強い数字だけでなく、年度後半の減速と普通株式配当ゼロを同時に見る必要がある。利益の水準よりも、市況反転時にどの程度守れるかが次の論点である。

来期見通し

会社は2026年3月期第1四半期について、売上収益2,950億円から3,250億円、営業利益130億円から350億円、親会社帰属四半期利益0億円から140億円を見込む。第4四半期単体からさらに弱いレンジが含まれており、短期的には価格・数量・為替の前提確認が欠かせない。

総合判断

総合判断は中立である。通期黒字転換、営業CF増加、自己資本比率改善は明確な前進である一方、半導体メモリは循環性が強く、第4四半期単体の減速も重い確認点である。次回は2026年3月期第1四半期予想の着地、営業CF、NAND販売単価、普通株式の配当方針を確認したい。

出典

本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。