今日の見方
今回の調査は、NISA制度の枠や税率を変更する発表ではありません。2025年12月末時点で、NISAを利用する口座がどの程度広がり、累計でどれだけ買付が行われたかを確認する基礎統計です。
買付額が大きく伸びているため、個人マネーの株式・投資信託への関心が続いていることは読み取れます。ただし、NISA口座のすべてが毎月稼働しているわけではなく、買付先の国内外比率もこの概要だけでは分かりません。市場への影響を考える時は、口座数と日本株への実際の資金配分を分けて見ます。
注目ニュース
1. NISA口座数は2025年12月末で2,821万口座
金融庁の調査では、2025年12月末のNISA口座数は2,821万口座でした。政府は2027年12月末までに3,400万口座とする目標を掲げています。2024年1月に新NISAが始まってから、制度利用の裾野が広がっています。
投資家が見る点: 口座数は制度の認知度や利用可能人口の広がりを測る数字ですが、残高や稼働率ではありません。今後は新規開設の増加だけでなく、積立を続ける口座の割合、年間投資枠の利用状況、投資先の分散を確認したいところです。
2. 累計買付額は71兆円、政府の2027年末目標56兆円を上回る
2025年12月末時点のNISA累計買付額は71兆円でした。政府目標は2027年12月末までに56兆円で、金額だけを比べれば目標を上回っています。なお、ここでいう買付額は累計の購入金額であり、現在の時価評価額や運用損益ではありません。
投資家が見る点: 買付額の拡大は個人の長期資金が市場へ向かう材料ですが、株価上昇や運用益を保証するものではありません。買付のペースが一時的な制度開始効果なのか、給与・賞与からの積立として定着したのかを、次回以降の調査で見ます。
3. 「NISA資金=日本株買い」とは限らない
金融庁が公表した概要は、口座数と買付額の全体像を示すものです。NISAで購入できる商品には、上場株式だけでなく投資信託なども含まれるため、71兆円のすべてが日本株の買付に向かったわけではありません。
投資家が見る点: 日本株の需給材料として読む場合は、NISA口座の拡大と、個別株・国内株投信・海外株投信への資金配分を分けます。個人投資家の資金が継続的に入る銘柄や指数を判断するには、商品別・市場別の追加データが必要です。
株式市場への影響を考える3つの軸
口座数より稼働率
口座開設が増えても、買付が一度で止まれば継続的な市場資金にはなりません。積立設定の継続、年間枠の利用、相場下落時にも買付を続けられるかが、制度の定着度を測る材料になります。
買付額より投資先
累計額だけでは、国内株式、海外株式、投資信託などの内訳は分かりません。日本株への需給を読むなら、NISAの普及ニュースを個別銘柄の買い材料へ直結させず、商品別の資金フローと合わせて確認します。
目標達成と制度利用の質
買付額は政府目標を上回りました。今後は「金額を増やす」だけでなく、長期・積立・分散という制度の趣旨に沿った利用が続くか、金融庁の次回調査で確認する局面です。
リスクと確認点
- NISAの非課税メリットは投資元本や運用益を保証するものではない
- 口座数は稼働口座数や一人当たりの投資額を直接示さない
- 累計買付額は現在の時価評価額、含み益、含み損とは異なる
- NISAの利用拡大だけで、日本株全体や特定銘柄の上昇を説明することはできない
確認しておきたい日程
- 2027年12月末:政府目標の期限。NISA口座数3,400万口座、累計買付額56兆円
- 次回の金融庁NISA利用状況調査:口座数、買付額、利用の継続状況を確認
関連ページ
- 旧NISAは1,991万口座、ジュニアNISAは98万口座|金融庁が2025年末調査を公表
- 投資の三大原則|長期・分散・積立
- 投資の4原則|長期・積立・分散・低コスト
- 日本株・IPO朝刊:7/3 注目10件
出典
- 金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果(令和7年12月末時点)の公表について」(2026年7月3日)
- 金融庁「NISAの利用状況の推移(グラフ)」(2025年12月末時点)