① 来週の日経平均・TOPIXシナリオ
日経平均の上昇が一部の値がさ株に偏るのか、TOPIXや幅広い業種にも買いが広がるのか。週明けは、この違いを見たい局面です。半導体だけが買われる相場と、内需・金融も加わる相場では、金利が上がったときの耐え方も変わります。
| シナリオ | 条件 | 市場の読み方 |
|---|---|---|
| 基本 | 半導体の業績期待が続く一方、金利・燃料費の負担も残る | 業種や企業の採算によって強弱が分かれる |
| 上振れ | 米金利が落ち着き、国債入札も無難に通過。大型決算で次期計画への期待が高まる | 半導体以外へ買いが広がるかを点検 |
| 下振れ | 米金利・国内金利・原油が上昇し、決算でもコスト負担が目立つ | 高PER株と燃料費・借入負担の大きい企業に売りが集中するか |
いずれも条件付きの見立てです。良い決算でも期待が先に株価へ織り込まれていれば、発表後に利益確定売りが出ることがあります。指数の上昇だけで業績評価が変わったとは判断できません。
② 米国株・SOX・NVIDIAなど海外要因
米労働統計局(BLS)が10月2日に公表した9月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比2万9,000人増、失業率は4.2%。平均時給は前月比0.1%増、前年同月比3.0%増でした。7月と8月の雇用者数も、合計6万人下方修正されています。
雇用と賃金の伸びは鈍い。日本株への影響は、利下げ期待が強まるかだけでなく、米国の需要減速を企業がどの程度見込むかにも分かれます。景気への不安が強まれば、金利が下がっても株価の支えになるとは限りません。
半導体ではSOXやNVIDIAの値動きに加え、AI投資が国内企業の受注と利益へつながるかが論点です。アドバンテスト(6857)はテスト需要、東京エレクトロン(8035)は顧客の設備投資、キオクシアHD(285A)はメモリー価格と採算。同じAI関連でも、利益を左右する条件は異なります。
出典:BLS「Employment Situation — September 2026」(10月2日公表)。
③ 為替・日米金利・原油
| 要因 | 上昇・円安が進んだ場合の主な影響 | 反対側の負担 |
|---|---|---|
| ドル円 | 輸出企業の円換算収益を支える | 輸入原材料・燃料費が増える |
| 米長期金利 | ドル相場や資金の配分に影響する | 高PER株の評価と米国需要を圧迫し得る |
| 国内長期金利 | 銀行の貸出利ざやや保険の再投資利回りを支える | 預金金利・債券評価損・借入コストが重くなる |
| 原油 | 資源開発企業の収益を支える | 空運・物流などの燃料費が増える |
国内では10月6日の10年国債入札、8日の30年国債入札が予定されています。応札需要が弱く利回りが上がる場合、銀行・保険の運用収益への期待と、保有債券の評価損への懸念が同時に出ることがあります。金利上昇を金融株全体の追い風と一括りにはできません。
空運や小売では、コスト上昇を運賃・販売価格へ転嫁できるかが分かれ目です。値上げが進んでも客数や販売数量が落ちれば、利益率の改善は続きません。
④ 来週の重要経済指標・中央銀行イベント
| 日時(日本時間) | イベント | 日本株へのポイント |
|---|---|---|
| 10/5(月)14:00 | 日銀・需給ギャップと潜在成長率等 | 国内景気の需給と金融政策観測 |
| 10/6(火)12:35 | 財務省・10年国債入札結果 | 長期債への需要と利回りの反応 |
| 10/7(水)14:00頃 | 日銀・消費活動指数 | 内需の数量面が伸びているか |
| 10/8(木)03:00 | FOMC議事要旨(9/15〜16会合) | 雇用・物価への見方と米金利の反応 |
| 10/8(木)08:50 | 日本・8月国際収支速報 | 対外収支と円相場 |
| 10/8(木)12:35 | 財務省・30年国債入札結果 | 超長期債への需要と保険株への波及 |
| 10/8(木)14:00 | 日銀・地域経済報告 | 地域別の景気・賃金・消費 |
9月の米CPIは10月14日、PPIは10月15日の予定で、対象週の翌週です。来週はFOMC議事要旨から政策判断の背景を読み、10月2日の雇用統計だけで利下げの方向を決めつけないことが、見通しの前提になります。
出典:日銀の公表予定、財務省の週間予定、FRBの10月予定、BLSの10月予定。
⑤ 来週の主要決算予定
10月8日は、ファーストリテイリング(9983)の2026年8月期通期決算と、セブン&アイ・ホールディングス(3382)の2027年2月期第2四半期決算が予定されています。
ファーストリテイリングで読みたいのは、海外ユニクロの地域別成長、粗利益率、為替影響、次期会社計画。増収率が高くても、値引きや出店費用で利益率が落ちるなら、売上の勢いだけでは評価しにくくなります。
セブン&アイでは、国内コンビニの既存店と海外コンビニの収益性、資本政策・事業ポートフォリオの進捗が中心です。国内と海外の利益の増減を分け、全社の数字に埋もれる採算の変化を拾いたい決算です。
出典:ファーストリテイリングの2026年IRカレンダー、セブン&アイのIRカレンダー。
⑥ IPO・株主還元・需給イベント
デジタルベリー(645A)は、10月8日にTOKYO PRO Marketへ新規上場する予定です。会社が9月18日の上場承認発表で日程を示しました。特定投資家向けの市場なので、一般的な公募IPOの公開価格と初値の比較だけでは判断できません。
HENNGE(4475)は10月2日、2026年9月期の年間配当予想を6円から11円へ引き上げました。同日の開示には、新株式発行・株式売出しに関連して期中レビューを実施したことも記載されています。増配の受け止め方と、株数・売出しによる需給への影響は合わせて見る必要があります。
自社株買いも、取得枠の発表と実際の買付は別です。買付期間・方法・取得実績によって、市場への買い需要は変わります。立会外での取得を、その後も市場で買い続ける材料と読み替えると、需給を過大評価します。
出典:デジタルベリー「TOKYO PRO Marketへの上場承認のお知らせ」(9月18日公表)。HENNGE「2026年9月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(開示事項の変更及び公認会計士等による期中レビューの完了)」(10月2日開示)、公式IR情報。
⑦ 来週の業種別の見方
| 業種・テーマ | 株価を支える条件 | 評価を抑える条件 |
|---|---|---|
| 半導体・AI | 受注・利益率の改善が業績期待を裏付ける | 米金利上昇、期待の織り込み、投資計画の減速 |
| 資源・石油 | 原油価格の上昇・高値維持 | 原油の下落、調達・精製事業の採算悪化 |
| 銀行・保険 | 利ざや・再投資利回りの改善 | 預金金利上昇、債券評価損、信用コスト |
| 自動車 | 円安と販売数量の維持 | 高金利・燃料費による需要減速 |
| 小売・内需 | 客数・数量を維持しながら利益率が改善 | 原材料・人件費の増加、値上げ後の数量減 |
| 不動産 | 賃料・稼働率の改善が借入負担を吸収 | 国内金利上昇と借換えコスト |
| 空運 | 運賃・搭乗率が燃料費を吸収 | 原油高・円安と価格転嫁の遅れ |
資源株でも、上流の開発事業と精製・販売では原油高の効き方が違います。銀行でも利ざやの改善幅と預金金利・信用コストの増加は企業ごとに異なるため、業種名だけで方向を決めるのは粗い見方です。
⑧ 来週の注目銘柄
| 銘柄 | 来週の論点 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| アドバンテスト(6857) | AI半導体のテスト需要 | 受注期待と株価への織り込み |
| 東京エレクトロン(8035) | 半導体設備投資 | 顧客の投資継続と利益率 |
| キオクシアHD(285A) | メモリー需要 | 価格・出荷数量・採算 |
| ファーストリテイリング(9983) | 10/8通期決算 | 海外事業・粗利・次期計画 |
| セブン&アイHD(3382) | 10/8第2四半期決算 | 国内外コンビニ採算と資本政策 |
| INPEX(1605)・ENEOS(5020) | 原油価格 | 開発と精製・販売の収益差 |
| MUFG(8306)・SMFG(8316) | 国内金利と国債入札 | 利ざや・預金金利・債券評価・信用コスト |
| JAL(9201)・ANA HD(9202) | 燃料費と円相場 | 運賃転嫁と搭乗率 |
IDEC(6652)も週明けの個別材料です。10月2日に2027年3月期の営業利益予想を72億円から94億円へ引き上げました。上方修正は利益見通しの改善ですが、寄り付きの上昇だけで評価が定着したとは言えません。売買が一巡した後も修正を評価する買いが残るかが、株価反応の見どころです。
出典:IDEC「Notice Concerning Revisions to Financial Results Forecasts」(10月2日開示)、公式IR情報。
来週見るべき3ポイント
- 週明け:買いの広がり。 半導体の上昇に他業種が加わるか。日経平均とTOPIXの動きを合わせて見ると、一部銘柄への偏りを捉えやすくなります。
- 6日・8日:国債入札後の金利。 入札の数字だけでなく、その後の利回りと金融・不動産株の反応に、負担を吸収できるかという市場の見方が表れます。
- 8日:大型小売の採算と計画。 売上の伸びよりも、粗利・客数・海外採算・次期計画。好決算でも株価が鈍い場合は、期待の高さが理由になっていないかを考えます。
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- 日本株週刊:9/28〜10/2|半導体主導の相場を振り返る
- 10月2日 日本株夕刊|IDEC上方修正・HENNGE増配
- 米雇用統計:9月非農業部門雇用者数2.9万人増、失業率4.2%
- 9月短観全容で見る設備投資と内需
出典
- 米労働統計局「Employment Situation — September 2026」(2026年10月2日公表)
- 米労働統計局「2026年10月の公表予定」
- 日本銀行「公表予定」(2026年10月2日更新)
- 財務省「Weekly Schedule」
- 財務省「2026年10月国債入札カレンダー」
- Federal Reserve「October 2026 Calendar」
- ファーストリテイリング「2026年IRカレンダー」(2026年10月2日更新)
- Seven & i Holdings「IR Calendar FY 2026」(2026年9月8日更新)
- デジタルベリー「TOKYO PRO Marketへの上場承認のお知らせ」(2026年9月18日公表)
- HENNGE「2026年9月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(開示事項の変更及び公認会計士等による期中レビューの完了)」(2026年10月2日開示)、公式IR情報
- IDEC「Notice Concerning Revisions to Financial Results Forecasts」(2026年10月2日開示)、公式IR情報
投資リスク
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