NISA TAX GUIDE NISAでも税金はかかる? 配当金・損益通算・確定申告を確認 配当 受取方式 外国税 控除の可否 損失 損益通算 申告 課税口座 非課税口座でも、税金の確認点は残る。

NISAで税金を確認すべき4つの場面

まず、NISAで税金を確認したい場面を整理する。

場面基本的な扱い注意点
NISA口座内の売却益国内では非課税損失が出ても損益通算・繰越控除はできない
国内上場株式・ETF・REITの配当等株式数比例配分方式なら非課税銀行口座受取や配当金領収証方式では課税される
株式投資信託の普通分配金NISA口座内では非課税元本払戻金(特別分配金)はそもそも課税対象ではない
外国株・海外ETFの配当等日本では非課税外国で源泉徴収される税金が残る場合がある

NISAは「日本国内の投資課税を軽くする器」である。商品そのものの値下がりリスクや、外国での課税、受取方式のミスまで消してくれるわけではない。

図解:NISAの税金チェック

NISAで税金を確認する4つのポイント 配当金の受取方式 株式数比例配分方式かを確認 外国税 日本非課税でも現地課税は別 損益通算 NISAの損失は税務上ないもの 確定申告 NISA外の課税口座と分けて考える 非課税口座でも、設定と損失処理は確認する

配当金受取方式:国内株の配当を非課税にする条件

最初に確認したいのは、国内上場株式、ETF、REITの配当金・分配金の受け取り方だ。

国税庁は、NISAで非課税とされる配当等について、非課税口座を開設している金融商品取引業者等を経由して交付されるもの、つまり株式数比例配分方式を選択したものに限られると説明している。日本証券業協会も、NISA口座で保有する上場株式やETF・REITの配当金等を非課税にするには、証券会社で受け取る株式数比例配分方式を選ぶ必要があると案内している。

受取方式は、ざっくり次のように整理できる。

受取方式受け取り先NISA口座の国内上場株式・ETF・REITの配当等
株式数比例配分方式証券会社の取引口座非課税の対象
登録配当金受領口座方式指定した銀行口座非課税にならず、20.315%で源泉徴収
配当金領収証方式郵便局などで受取非課税にならず、20.315%で源泉徴収

ここはかなり実務的だ。

NISA口座で国内高配当株やETFを買っていても、配当金の受取方式が株式数比例配分方式でなければ、配当等は非課税にならない。しかも、課税された配当金等をあとから確定申告で「NISAだから非課税」に戻すことはできない。

ただし、課税された配当等は通常の上場株式等の配当として扱われる。日本証券業協会は、株式数比例配分方式以外で課税された配当金等について、確定申告により総合課税で配当控除を受ける、または申告分離課税で一定の上場株式等の譲渡損失と通算することは可能と説明している。

つまり、ポイントはこうだ。

NISAの非課税メリットを取りに行くなら、配当金受取方式を事前に確認する。課税されてしまった後は、NISAの非課税には戻せないが、課税口座側の税務として申告を検討する余地はある。

なお、株式数比例配分方式はNISA口座だけに個別設定するものではない。複数の証券会社で上場株式を持っている場合、全体の受取方式に影響することがある。変更期限も配当基準日との関係があるため、証券会社の画面で早めに確認したい。

外国株・海外ETF:日本では非課税でも外国税が残ることがある

次に、外国株や海外ETFの配当だ。

NISA口座で米国株や米国ETFを持っている場合、日本国内ではNISAの非課税メリットを受けられる。ただし、配当金に対して外国で源泉徴収される税金は別である。米国株の配当では、租税条約の適用後に米国で10%が源泉徴収されるケースが一般的だが、国、銘柄、商品、証券会社の手続きによって扱いは変わる。

イメージは次の通りだ。

米国株の配当 100ドル
  ↓
米国で源泉徴収 10ドル(例)
  ↓
NISA口座に 90ドル相当が入金
  ↓
日本国内の所得税・住民税は非課税

ここで混同しやすいのが、外国税額控除である。

外国税額控除は、外国で課税され、日本でも課税される二重課税を調整するための制度だ。国税庁は、一定の外国所得税額を所得税額から差し引く制度として説明している。

しかし、NISA口座では日本国内の所得税・住民税が非課税になる。日本側で差し引く税額がないため、NISA口座内の外国株配当については、外国税額控除を使えない扱いになるのが一般的だ。日本取引所グループも、外国資産に投資する一部ETF等の二重課税調整について、NISA口座で保有している場合は国税分が非課税となり二重課税状態が発生しないため対象外と説明している。

外国株や海外ETFをNISAで持つこと自体が悪いわけではない。むしろ、売却益や日本側の課税が非課税になるメリットは大きい。ただ、配当利回りを比べるときは、外国で引かれる税金が残る場合があることを織り込んでおきたい。

損益通算:NISAの損失は課税口座の利益と相殺できない

NISAのもう一つの大きな注意点が、損失の扱いだ。

国税庁は、NISA口座で取得した上場株式等を売却して生じた損失は「ないもの」とみなされるため、特定口座や一般口座の配当等、譲渡益との損益通算や、繰越控除はできないと説明している。日本証券業協会も、NISA口座の売買損失は税務上ないものとされ、損益通算も3年間の繰越控除もできないと案内している。

例で見ると分かりやすい。

特定口座:株式売却益 50万円
NISA口座:株式売却損 50万円

投資全体では差し引きゼロに見える。しかし、税務上はNISA口座の損失を特定口座の利益にぶつけられない。特定口座側の利益には課税が残る。

これは、NISAのメリットと表裏一体だ。NISAは利益が出たときの制度であり、損失が出たときの制度ではない。利益が出ても課税されない代わりに、損失が出ても税金を減らす材料にはならない。

だから、NISA枠は「値上がりすれば非課税だから、リスクの大きい銘柄ほど向いている」と単純には言えない。損益通算できない口座である以上、集中投資、短期売買、値動きの激しい小型株、テーマ株、レバレッジ型商品などは、税務上の救済がないことも含めて考える必要がある。

売上より利益、利益よりキャッシュ。そしてNISAでは、リターンより先に損失時の扱いも確認したい。

確定申告:NISAだけなら不要でも、課税口座は別で考える

NISA口座内で非課税となる売却益や配当等だけであれば、通常、その利益を確定申告する必要はない。

ただし、投資家の税務はNISAだけで完結しない。

ケース確認したいこと
NISAの国内株配当が株式数比例配分方式以外で課税されたNISA非課税には戻せないが、課税配当として申告方法を検討できる
特定口座・一般口座で損失がある課税口座側の損益通算や繰越控除を検討する
外国株配当を課税口座で受け取った外国税額控除の対象になるか確認する
副業、暗号資産、不動産所得などがある投資以外の確定申告義務も確認する
扶養、社会保険、住民税に影響しそうな所得がある税金だけでなく世帯全体への影響を見る

大事なのは、「NISA口座の利益は非課税」と「自分に確定申告が不要」は別の話だということだ。

NISAの損失を申告して税金を減らすことはできない。一方で、課税口座の損失、外国税額控除、配当の申告方法、副業所得などは、NISAとは別に申告判断が必要になる。

NISAで税金を見落とさないチェックリスト

実際に使うなら、次の順番で確認するとミスが減る。

  1. 国内上場株式、ETF、REITを買う前に、配当金受取方式を確認する
  2. 株式数比例配分方式に変更する場合、配当基準日に間に合うか確認する
  3. 投資信託の分配金は、普通分配金と元本払戻金の違いを見る
  4. 米国株や海外ETFの配当は、外国での源泉税を織り込む
  5. NISA口座の損失は、特定口座や一般口座の利益と通算できない前提でリスクを取る
  6. 課税口座の損失や外国税額控除は、NISAとは別に確定申告を確認する
  7. 税務判断に迷う場合は、証券会社の年間取引報告書、支払通知書、公式情報を確認する

設定ひとつで結果が変わるのが、NISAの税金まわりのややこしさだ。買う前、配当基準日前、年末の3回だけでも確認しておきたい。

よくある質問

NISAでも税金がかかることはありますか?

ある。NISA口座内の売却益や、条件を満たす配当等は日本国内では非課税になる。ただし、国内上場株式等の配当金を株式数比例配分方式以外で受け取ると課税される。外国株の配当では、外国で源泉徴収される税金が残る場合もある。

NISAの配当金が課税されたら、確定申告で非課税に戻せますか?

株式数比例配分方式を選ばなかったために課税された配当金等は、確定申告でNISAの非課税扱いに戻すことはできない。ただし、その配当金等は課税された配当として、総合課税や申告分離課税を選ぶ余地がある。課税口座の譲渡損失との通算が関係する場合もあるため、個別条件を確認したい。

投資信託の分配金も株式数比例配分方式が必要ですか?

日本証券業協会は、NISA口座で保有する株式投資信託の分配金については、上場株式やETF・REITのような手続きをしなくても非課税になると説明している。ただし、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)では意味が違う。元本払戻金は元本の一部払い戻しであり、そもそも課税対象ではない。

NISAで損したら確定申告できますか?

NISA口座の損失そのものを使って、特定口座や一般口座の利益と損益通算したり、繰越控除したりすることはできない。課税口座側で損失がある場合は別の話なので、課税口座の年間取引報告書を見て判断する。

NISAの米国株配当は外国税額控除できますか?

一般に、NISA口座では日本国内の所得税・住民税が非課税になるため、外国税額控除の対象にしにくい。外国税額控除は日本側の税額から外国税を差し引く制度だからだ。国や商品によって外国源泉税の扱いは変わるため、証券会社の案内と公式情報を確認したい。

最終判断

NISAは、税金を考えなくていい制度ではない。

むしろ、税金のルールを理解して使う制度である。

国内上場株式やETF・REITの配当金等は、株式数比例配分方式を選ぶかどうかで結果が変わる。外国株や海外ETFは、日本では非課税でも外国で源泉徴収される税金が残ることがある。NISA口座の損失は、課税口座の利益と損益通算できず、繰越控除もできない。

非課税のメリットは大きい。だからこそ、設定ミスと損失時の扱いは先に知っておきたい。

第8回で家計・保険・年金・税金の土台を確認した。第10回ではNISAの税金まわりを整理した。次は第4章として、証券アナリストや機関投資家がどのような共通言語で企業と市場を見ているのかに進む。

投資家の学習ロードマップ

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出典・参考