半導体:同じAI投資でも装置の用途は違う
4社は同じ半導体投資でも担当する工程が違います。テスタ、成膜・塗布現像、EUVマスク検査、洗浄装置で顧客や発注時期がずれるため、AI設備投資の総額だけでは業績を比べられません。業種全体では顧客の投資延期が共通リスクです。
- アドバンテスト(6857)では、AI向け高性能半導体テスタの需要拡大が直近の増収増益に表れています。第1四半期は売上高が前年同期比39.3%増、営業利益が53.3%増。10月28日予定の第2四半期決算では、受注と通期計画への進捗を見ます。
- 東京エレクトロン(8035)は前工程装置を幅広く手掛け、中間期予想を引き上げました。第1四半期の営業利益率は28.9%。通期予想の内容と中間決算の進捗を照らし、中国向け需要の減速が計画にどう響くかを見ます。
- レーザーテック(6920)のEUVマスク検査装置は、先端半導体投資の動向が受注に表れやすい分野です。2026年6月期は売上高が8.3%減、営業利益が14.3%減。次は受注高と受注残が売上回復へつながる時期が焦点です。
- SCREENホールディングス(7735)は洗浄装置を含む半導体製造装置を手掛けます。第1四半期は売上高が10.3%減、営業利益が41.1%減と4社の中でも利益の落ち込みが目立ちました。次の決算では受注回復と営業利益率の変化を追います。
金融:銀行は利ざや、保険は運用収益
銀行では貸出利回りと預金コストの差、信用費用が利益を左右します。保険のT&Dでは運用収益や為替ヘッジコストが焦点です。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の国内貸出では、貸出利回りと預金コストの差が金利上昇の収益効果を左右します。11月13日予定の中間決算では、資金利益と信用費用の組み合わせを確認します。
- 三井住友フィナンシャルグループ(8316)の第1四半期純利益は前年同期比33.0%増でした。11月中旬の中間決算では、増益の内訳を貸出利ざや、信用費用、市場関連損益に分けて確認します。
- T&Dホールディングス(8795)では、グループ修正利益と資産運用収支を追います。中間決算では保有債券の評価や為替ヘッジコストの変化も切り分けます。
防衛:概算要求から契約、売上計上までを追う
防衛省は令和9年度概算要求を8月31日に公表しました。年末の政府予算案に盛り込まれても、企業の売上になるまでには個別契約、受注残への計上、生産・納入が続きます。3社に共通する確認点は、予算額そのものではなく、受注残と案件ごとの採算です。
- 三菱重工業(7011)は防衛・航空・宇宙に加えてエネルギー事業も持ちます。第1四半期は全社の売上収益が15.5%増、事業利益が65.1%増。防衛関連部門の受注高と事業利益が全社の伸びにどれだけ寄与したかを追います。
- IHI(7013)では、航空・宇宙・防衛事業の受注と利益の動きに注目します。第1四半期の営業利益は前年同期比250.5%増。11月の第2四半期決算では、増益要因と同事業の受注・納入状況を確認します。
- 川崎重工業(7012)は防衛・航空宇宙を手掛け、第1四半期の全社営業利益も74.3%増えました。11月10日予定の第2四半期決算では、受注の伸びが利益率にも表れているかを見ます。
建設:受注増だけでは利益の伸びを測れない
工事受注から売上計上までには時間がかかります。低採算案件、資材費・人件費の上昇、工期延長は各社に共通する利益率の押し下げ要因です。
- 大成建設(1801)の第1四半期営業利益率は8.7%で、今回取り上げる建設3社では最も高い水準でした。売上高は18.4%増、営業利益は15.3%増。次の決算では営業利益率が改善するかを見ます。
- 大林組(1802)は、第1四半期の営業利益が327億円、前年同期比107%増と伸びが目立ちました。売上高も19.0%増えましたが、営業利益率は5.2%です。受注採算と大型工事の原価管理が次の焦点です。
- 鹿島(1812)は、売上高が1.5%減る中で営業利益が7.8%増え、利益率は6.3%でした。次は建設事業と不動産事業の利益を分け、完成工事利益率の動きを見ます。
11〜12月の予定と確認したい数字
| 時期 | 公表予定・節目 | 今回の見方 |
|---|---|---|
| 10月28日 | アドバンテスト第2四半期決算 | 11月以降の半導体株を見る基準として、受注と会社計画の修正を確認 |
| 11月10日 | 川崎重工業第2四半期決算 | 防衛・航空宇宙の受注と利益率を確認 |
| 11月13日 | 三菱UFJ FG中間決算 | 貸出利回り、預金コスト、信用費用の差し引きを確認 |
| 11月中旬 | 三井住友FG中間決算 | 金利収益と信用費用、通期計画への進捗を確認 |
| 11月(発表日未定) | IHI第2四半期決算 | 航空・防衛事業の受注と営業利益率を確認 |
| 12月 | 2027年度予算案の編成・政府案決定(例年の工程) | 防衛関連の要求が予算にどう反映されるか確認。2027年度の具体日程は10月9日時点で未公表 |
| 分野 | 決算後に更新する項目 |
|---|---|
| 半導体 | 会社予想、装置別の需要、営業利益率 |
| 銀行 | 資金利益、預金コスト、信用費用 |
| 保険 | グループ修正利益、運用収支、為替ヘッジコスト |
| 防衛 | 関連部門の受注残と部門利益(各社の開示指標) |
| 建設 | 完成工事利益率、受注高、手持ち工事の採算 |
関連記事
出典
- アドバンテスト「第1四半期決算レビュー」「IRカレンダー」
- 東京エレクトロン「決算短信・決算説明会資料」
- レーザーテック「IR資料室」
- SCREENホールディングス「IRライブラリ」
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ「IR情報・決算資料」「IRニュース・決算予定」
- 三井住友フィナンシャルグループ「決算関連資料」「IRカレンダー」
- T&Dホールディングス「IR資料室」
- 三菱重工業「決算短信・説明会資料」
- IHI「決算説明会資料」「IRカレンダー」
- 川崎重工業「IRカレンダー」
- 大成建設「株主・投資家情報」
- 大林組「株主・投資家情報」
- 鹿島建設「決算短信」
- 防衛省「令和9年度概算要求書」(2026年8月31日更新)
- 財務省「予算編成の流れ」(例年の工程)