今日の見方
8月は月間騰落率がプラスでも、月後半には上昇の勢いが鈍りました。日本株はTOPIXが日経平均を上回り、米国株はNASDAQ総合がNYダウを上回りました。AI・半導体の成長期待が残る一方、日本では銀行・資源などにも資金が向かい、指数内の主役は日ごとに入れ替わりました。
| 指数 | 7月31日終値 | 8月31日終値 | 月間騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 64,362.02円 | 66,311.93円 | +3.0% |
| TOPIX | 4,003.30 | 4,156.29 | +3.8% |
| NYダウ | 52,485.03ドル | 53,185.90ドル | +1.3% |
| S&P500 | 7,489.72 | 7,686.14 | +2.6% |
| NASDAQ総合 | 25,373.85 | 26,370.89 | +3.9% |
騰落率は配当を含まない価格指数を終値同士で比較し、小数第2位を四捨五入しました。日米で取引時間と休場日が異なるため、それぞれの現地市場の月末終値を使っています。
8月相場の重要ポイント
1. 日本株は月中に最高値圏、月末はTOPIX優位
日経平均は8月17日に69,220.25円まで上昇しましたが、同日はTOPIXが下落し、プライム市場でも値下がり銘柄が値上がり銘柄を上回りました。値がさ株が指数を持ち上げても、市場全体が同じ強さではない場面があったということです。8月31日は日経平均が0.14%安、TOPIXが0.23%高となり、月末にも指数の分化が残りました。
投資家が見る点: 日経平均の7万円接近だけで強弱を決めず、TOPIX、値上がり銘柄数、グロース250を並べます。9月に高値を試す場合も、半導体以外へ上昇が広がるかが持続性の目安です。
2. 業種の明暗は「AI」「金利」「輸入コスト」で分かれた
AI投資は半導体株の支えでしたが、好材料への反応は均一ではありません。8月28日はアドバンテストが1.90%高、東京エレクトロンが0.41%高だった一方、キオクシアHDは8.76%安、ディスコも0.71%安でした。銀行・保険は国内金利上昇が収益期待につながりやすく、資源株は原油高が追い風になりやすい環境でした。反対に空運、電力、化学、食品、小売では、原油と円安による仕入れ負担が意識されます。
投資家が見る点: 業種名だけで方向を固定せず、半導体は受注と利益率、銀行は貸出金利と預金コスト、輸入型企業は価格転嫁と為替予約を確認します。
3. 米国株はNASDAQ主導、月末は金利と期待値が重荷
米国の主要3指数も月間では上昇しました。S&P500は8月13日に7,798.99まで上げましたが、月末は7,686.14。8月31日は米10年債利回りが4.75%となり、S&P500は0.33%安、NYダウは0.70%安、NASDAQ総合は0.12%安でした。成長期待が高いハイテク株ほど、金利上昇と業績見通しへの要求水準の影響を受けやすい地合いです。
投資家が見る点: 9月は指数の最高値更新より、長期金利が上昇しても企業利益の伸びが評価を支えられるかを見ます。大型テック内の濃淡と、景気敏感・金融への資金移動も確認材料です。
4. 決算は「増収」より利益率と次期見通し
NVIDIAの2027年1月期第2四半期は売上高962.21億ドル、前年同期比106%増。データセンター売上高は890億ドルに達し、次四半期売上高は1,080億ドル±2%を見込みました。ただし、粗利率見通しは74.0%±0.5ポイントと、第2四半期の75.0%から低下します。
日本では任天堂の2027年3月期第1四半期が、売上高9.5%減に対して営業利益150.5%増となりました。Switch 2や高採算ソフトが寄与した一方、関税還付など一時要因を含みます。キオクシアとサンディスクは2032年までの国内投資を総額約5兆円としましたが、発表翌日のキオクシア株は下落しました。
投資家が見る点: AI投資額や増益率の大きさだけではなく、粗利率、一時要因を除く利益、設備投資後のフリーキャッシュ・フローまで追います。良い開示と株価上昇は同義ではありません。
5. 為替・金利・原油が日米株を横断
7月末の日米協調介入後、ドル円は8月28日に再び一時160円台へ上昇し、8月31日の市場整理では159.74円でした。日本の7月CPIは総合が前年同月比1.9%、生鮮食品を除く総合が1.8%上昇。米国では8月末の長期金利が4.75%となり、日米とも金融政策への感応度が高まりました。
原油は8月21日にBrentが94.39ドルまで上昇し、8月末は90.32ドル。供給不安とインフレ懸念が、資源株には追い風、燃料・原材料を使う企業には逆風となりました。
投資家が見る点: 円安だけを輸出株の好材料と見ず、介入による急反転、輸入物価、国内金利への波及を一組で捉えます。原油は資源・空運・化学・電力への影響が逆向きになるため、指数より業種間の差が焦点です。
9月相場の展望と確認順
9月の第一のリスクは、米インフレと長期金利の再上昇です。第二は、AI関連企業が高い売上期待に対し、利益率と投資回収で応えられない場合のバリュエーション調整。第三は、中東情勢と原油、ドル円160円近辺での為替介入警戒です。国内では9月17・18日の日銀金融政策決定会合が金利感応株の分岐点になります。
ポートフォリオを点検する際は、①AI・半導体への集中度、②金利上昇が利益と評価倍率へ与える影響、③円安・原油高が売上とコストのどちらに効くか、の三軸が使えます。特定の業種へ一括で寄せるのではなく、会社計画と実績の差、利益率、キャッシュ・フローを比較すると、同じテーマ内でも銘柄を分けて見やすくなります。
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出典
- JPX「株価指数ヒストリカルグラフ(TOPIX)」(2026年7月31日、8月31日終値)
- S&P Dow Jones Indices「Dow Jones Industrial Average」(2026年7月31日、8月31日終値)
- S&P Dow Jones Indices「S&P 500」(2026年7月31日、8月31日終値)
- Nasdaq「NASDAQ Composite Historical Data」(2026年7月31日、8月31日終値)
- 米国財務省「Daily Treasury Par Yield Curve Rates」(2026年8月31日)
- 日本銀行「外国為替市況(日次)」(2026年8月分)
- 財務省「外国為替平衡操作の実施状況」(2026年7月30日~8月26日実施分)
- 総務省統計局「2026年7月分 消費者物価指数」(2026年8月21日公表)
- 日本銀行「金融政策決定会合等の日程」(2026年9月17・18日)
- NVIDIA「Financial Results for Second Quarter Fiscal 2027」(2026年8月26日)
- 任天堂「IR情報」(2027年3月期第1四半期決算)
- キオクシア「日本で約5兆円を投資」(2026年8月27日)
- ICE「Brent Crude Futures」(2026年8月分)
※本記事は公開資料と市場データを基に2026年8月の相場を整理したもので、特定の金融商品や銘柄の売買を勧めるものではありません。市場データは配信元や確認時刻により差が生じる場合があります。