まず結論
中堅・地域密着型証券を選ぶなら、最初に「何を使いたいのか」を決めた方が早いです。
| 目的 | 候補になりやすい会社 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1日100万円以内の国内株を安く売買したい | 岡三オンライン | 定額プラン、SBI証券への移管予定 |
| 月に何十回も売買する | 岩井コスモ証券 | マンスリーコース、信用・デイトレ |
| 大口の現物株をネットで発注したい | 水戸証券、アイザワ証券 | 水戸ネットの上限、ブルートレードの定額 |
| 中部・名証銘柄や地域情報を見たい | 東海東京証券 | 中京圏の地盤、名証銘柄、口座管理料 |
| 日経新聞系の情報を使いたい | 丸三証券 | MARUSAN-NETと日経テレコン21《丸三証券版》 |
| 中小型成長株の調査を重視したい | いちよし証券 | いちよし経済研究所、対面提案 |
| アジア株に投資したい | アイザワ証券 | アジア12市場、外国株手数料、為替スプレッド |
ここで注意したいのは、「中堅証券はネット証券より高い」と一括りにしないことです。
たしかに対面取引は高くなりがちです。10万円や50万円の少額売買では、最低手数料がかなり重く見える会社もあります。
でも、ネット専用口座や特定コースを見ると、かなり尖った低コスト設計もあります。岡三オンラインの定額プラン、岩井コスモ証券のマンスリーコース、水戸ネットの500万円超一律4,400円、アイザワ証券ブルートレードの50万円超3,000万円以下1,650円などは、その典型です。
7社の特徴を一覧で比較
まずは全体像です。
| 証券会社 | いちばん見たい特徴 | 国内株の低コストルート | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 岡三証券・岡三オンライン | 投資情報、岡三オンライン、IPO事前入金不要 | 岡三オンライン定額プランは1日100万円まで0円 | 2026年10月13日に日本株・投信事業の一部がSBI証券へ移管予定 |
| 東海東京証券 | 中部地盤、名証銘柄、対面相談 | ダイレクト信用取引適用時は現物手数料が低い | 通常のかんたんダイレクト手数料と混同しない。口座管理料も確認 |
| 岩井コスモ証券 | コスモ・ネットレ、月額制、信用デイトレ | アクティブ、マンスリー、信用・デイトレ | 売買回数が少ないとマンスリーは重い |
| 丸三証券 | MARUSAN-NET、日経テレコン、対面相談 | MARUSAN-NETは本支店基本手数料から原則25%割引 | 旧マルサントレードの2カ月無料・一日コースは現行条件ではない |
| 水戸証券 | 関東圏の地域密着、水戸ネット、大口現物 | 水戸ネットは50万円以下440円、500万円超4,400円 | 水戸ネットではPO・IPOを扱わない |
| いちよし証券 | 中小型成長株調査、対面提案 | いちよしダイレクトは基本手数料の50%割引 | いちよしダイレクトはインターネット取引ではなく電話取引 |
| アイザワ証券 | アジア12市場、ブルートレード、相談機能 | ブルートレードのネット発注は50万円以下814円、50万円超3,000万円以下1,650円 | 外国株は国内株と別手数料。為替スプレッドも見る |
この表だけでも分かる通り、7社は同じカテゴリーに入っていても性格が違います。
岡三オンラインと岩井コスモ証券は、ネット取引のコスト設計に個性があります。水戸証券とアイザワ証券は、大口現物のネット発注で使いやすい場面がある。丸三証券やいちよし証券は、単純な手数料より情報・相談に価値が寄っています。東海東京証券は、中京圏と名証銘柄、富裕層向けの対面サービスを見る会社です。
国内株手数料で比べる
国内株の手数料だけを見るなら、まず「どの窓口で注文するか」を分けます。
対面、電話、ネット、専用口座、信用取引向けコースで手数料が変わるからです。
| 会社 | 低コスト側の見方 | 少額売買の印象 | 大口売買の印象 |
|---|---|---|---|
| 岡三オンライン | 定額プランで1日100万円まで0円 | 強い | 100万円超は段階的に手数料が出る |
| 東海東京証券 | ダイレクト信用取引適用時の現物手数料は低い | 通常のかんたんダイレクトは最低手数料に注意 | 口座管理料やコース条件も見る |
| 岩井コスモ証券 | アクティブは10万円88円、100万円880円。スタンダードは1注文1,100円 | コース選択次第 | 1注文が大きいなら固定制が効く |
| 丸三証券 | MARUSAN-NETは本支店手数料から25%割引 | 手数料だけなら重い | 情報・相談込みで見る |
| 水戸証券 | 水戸ネットは50万円以下440円、500万円超4,400円 | 無料ネット証券よりは高い | 500万円超の上限が強い |
| いちよし証券 | いちよしダイレクトは基本手数料50%割引 | 手数料重視には重い | 中小型株調査・提案込みで見る |
| アイザワ証券 | ブルートレードは50万円以下814円、50万円超3,000万円以下1,650円 | 少額では無料ネット証券に劣る | 50万円超の定額感は分かりやすい |
少額を頻繁に売買する人は、岡三オンラインや岩井コスモ証券のアクティブコースが比較対象になりやすいです。
大口の現物株を単発で買う人は、水戸ネットやアイザワ証券のブルートレードも見ておきたいところです。特に水戸ネットは500万円超が一律4,400円、アイザワ証券のブルートレードは50万円超3,000万円以下が1,650円です。
逆に、丸三証券やいちよし証券を「国内株の売買手数料だけ」で評価すると、かなり不利に見えます。そこは少し乱暴です。丸三証券は日経テレコンや担当者相談、いちよし証券は中小型成長株の調査と対面提案を含めて見る会社です。
対面相談で比べる
中堅・地域密着型証券を見る理由のひとつは、対面相談です。
ネット証券の画面だけで完結する投資が不安な人、相続・贈与・退職金運用・事業承継まで話したい人には、店舗や担当者の存在が意味を持ちます。
| 会社 | 対面相談の色 |
|---|---|
| 岡三証券 | 独立系総合証券として投資情報と担当者提案に強み |
| 東海東京証券 | 中部・東海エリア、富裕層向けサービス、地域企業との接点 |
| 岩井コスモ証券 | 対面、コール、ネットを分けて使える |
| 丸三証券 | 老舗独立系、MARUSAN-NETでもアドバイス付き |
| 水戸証券 | 関東圏・北関東の地域密着、ファンドラップや資産承継 |
| いちよし証券 | 中小型成長株の調査をもとにした対面提案 |
| アイザワ証券 | アジア株やゴールベースアプローチを含む相談型 |
対面相談を使うなら、手数料は「売買コスト」というより、相談料込みの価格に近づきます。
ただし、担当者に相談するからといって、提案された商品をそのまま買う必要はありません。株式、投信、債券、ラップ口座、外国株のどれでも、手数料、信託報酬、為替コスト、途中解約条件は自分でも確認した方がいいです。
IPO目的で比べる
IPO目的で中堅証券を見る人もいます。
ただ、この分野はかなり誤解が出やすいです。「穴場」「完全平等」「資金不要」といった言葉だけで判断すると危ない。
| 会社 | IPOで見るポイント |
|---|---|
| 岡三オンライン | 申込時の事前入金不要が特徴。ただしSBI証券への移管予定を確認 |
| 岩井コスモ証券 | ネット取引分の抽選枠と取扱実績を見る |
| 丸三証券 | 現行のMARUSAN-NETでの取扱・配分方針を確認。旧マルサントレード情報に注意 |
| 水戸証券 | 水戸ネットではPO・IPOの取扱いなし |
| いちよし証券 | 対面提案や配分方針を確認 |
| アイザワ証券 | 抽選枠はあるが、完全平等抽選だけで見る会社ではない |
| 東海東京証券 | 地域・対面型の配分方針や取扱銘柄を確認 |
IPOで使うなら、見るべき点は4つです。
- その年の取扱実績
- 主幹事・幹事の頻度
- 抽選方式と配分割合
- 申込時点で資金拘束があるか
岡三オンラインのように事前入金不要を明確に打ち出す会社は、資金効率の面で使いやすいです。ただし、岡三オンラインの日本株・投信事業は2026年10月13日にSBI証券へ移管予定と案内されています。今からIPO目的で使うなら、移管後の扱いまで確認した方が実務的です。
独自サービスで比べる
中堅証券のおもしろさは、手数料表より独自サービスに出やすいです。
| 会社 | 独自サービス・強み | 刺さる人 |
|---|---|---|
| 岡三オンライン | 1日100万円まで0円、IPO事前入金不要、高機能ツール | 日本株とIPOのサブ口座を考える人 |
| 東海東京証券 | 名証銘柄、中京圏の地盤、富裕層向けサロン | 東海地方の企業・資産相談に関心がある人 |
| 岩井コスモ証券 | マンスリーコース、信用・デイトレ | 売買回数が多い人、日計り信用を使う人 |
| 丸三証券 | 日経テレコン21《丸三証券版》、MARUSAN-NET | 情報収集と担当者相談を重視する人 |
| 水戸証券 | 水戸ネットの大口上限、水戸ファンドラップ | 関東圏で相談しつつ大口現物も扱う人 |
| いちよし証券 | 中小型成長株調査、いちよし経済研究所 | 自分だけでは中小型株を追い切れない人 |
| アイザワ証券 | アジア12市場、ブルートレード、ゴールベースアプローチ | アジア株と相談機能を組み合わせたい人 |
個人的には、この7社は「メイン口座にするか」より、「どの機能を取りに行くか」で見た方が整理しやすいです。
国内株を無料で毎日売買したいなら、大手ネット証券の方が分かりやすい。これは事実です。
でも、名証銘柄、アジア株、中小型株調査、日経テレコン、地域密着の相続相談、信用デイトレのコスト設計などは、ネット証券の比較表だけでは見落としやすい部分です。
目的別の選び方
手数料重視なら
国内株の手数料だけを見るなら、まず次の4社を比較します。
| 候補 | 理由 |
|---|---|
| 岡三オンライン | 定額プランは1日100万円まで0円 |
| 岩井コスモ証券 | アクティブ、マンスリー、信用・デイトレの選択肢が多い |
| 水戸証券 | 水戸ネットは大口現物で上限が効く |
| アイザワ証券 | ブルートレードのネット発注は50万円超で定額感がある |
少額売買なら岡三オンラインや岩井コスモ証券。大口現物なら水戸ネットやブルートレード。こう分けると見やすいです。
対面相談重視なら
対面相談を重視するなら、地域性と相談内容で選びます。
| 相談内容 | 候補 |
|---|---|
| 中京圏・名古屋周辺の資産相談 | 東海東京証券 |
| 関東圏・北関東の地域密着相談 | 水戸証券 |
| 中小型株の提案を聞きたい | いちよし証券 |
| アジア株や外国株も相談したい | アイザワ証券 |
| 老舗独立系の投資情報を使いたい | 岡三証券、丸三証券 |
対面相談は、合う担当者に当たるかどうかでも体験が変わります。口座開設前に、相談したい内容と、どの取引チャネルを使うのかを確認しておくと失敗しにくいです。
IPO目的なら
IPO目的なら、岡三オンラインと岩井コスモ証券は候補に入りやすいです。
岡三オンラインは、申込時の事前入金不要が大きい。岩井コスモ証券は、ネット取引分の抽選枠と取扱実績を確認したい会社です。
一方、水戸ネットのようにIPO・POを扱わないネット専用口座もあります。アイザワ証券や丸三証券も、昔の情報や断片的な評判ではなく、現在の配分方針と申込方法を確認する必要があります。
情報収集重視なら
情報収集で見るなら、丸三証券、岡三証券、いちよし証券が候補になります。
丸三証券は、MARUSAN-NET利用者向けの日経テレコン21《丸三証券版》が目立ちます。岡三証券は投資情報の厚さ、いちよし証券は中小型成長株の調査が特徴です。
ただし、情報ツールだけで口座を選ぶと、いざ売買するときの手数料や注文方法でつまずくことがあります。情報収集用と売買用の口座を分ける考え方もあります。
外国株・アジア株重視なら
この7社の中で、外国株、とくにアジア株で目立つのはアイザワ証券です。
公式情報では、香港、上海、深圳、台湾、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、イスラエルのアジア12市場を扱います。
ただし、外国株式は国内株式と手数料体系が違います。ブルートレードのインターネット・モバイルでも、外国株式委託手数料は売買代金の1.65%で、買付時には最低手数料5,500円があります。為替スプレッドも別に見ます。
アジア株は選択肢として魅力がありますが、国内株と同じ感覚で「手数料だけ見て買う」とズレやすいです。
図解:中堅証券7社の選び方
初心者が間違えやすいポイント
対面証券のネット取引を「ネット証券」と同じだと思う
東海東京証券のかんたんダイレクト、丸三証券のMARUSAN-NET、水戸証券の水戸ネット、アイザワ証券のブルートレードなどは、ネットで注文できるサービスです。
ただし、SBI証券や楽天証券のようなネット専業型の無料手数料体系とは違います。
名前に「ネット」が付いていても、手数料、取扱商品、相談機能、IPO対応は別物です。
古いサービス情報を現行条件だと思う
丸三証券の旧マルサントレードは、2022年7月にサービス終了しています。旧サービスの2カ月無料、一日コース、銘柄コースを、現在の丸三証券の条件として扱うのは危険です。
岡三オンラインも、日本株・投資信託事業の一部を2026年10月13日にSBI証券へ移管予定です。
中堅証券はサービス変更の影響が大きく出ることがあります。比較記事を読むだけで終わらせず、最後は公式ページで確認してください。
IPOを「完全平等」「資金不要」とだけ見る
IPOの抽選方式は会社ごとに違います。
また、「申込時に資金不要」と「当選後も資金不要」はまったく違います。岡三オンラインのように申込時の事前入金不要を打ち出す会社でも、当選後の購入には資金が必要です。
IPO目的なら、抽選方式、配分割合、資金拘束、購入申込期限まで見ます。
アジア株を国内株と同じ感覚で買う
アイザワ証券のアジア株は魅力的です。
ただ、外国株は国内株より手数料の見方が複雑になります。委託手数料、最低手数料、現地費用、為替スプレッド、流動性、税金まで確認が必要です。
まとめ
中堅・地域密着型証券7社は、同じ「証券会社」でも使いどころがかなり違います。
国内株の手数料だけで見るなら、岡三オンライン、岩井コスモ証券、水戸ネット、アイザワ証券ブルートレードが比較しやすいです。
対面相談や地域性まで見るなら、東海東京証券、水戸証券、丸三証券、いちよし証券、アイザワ証券の個性が出ます。
情報収集なら丸三証券や岡三証券、中小型成長株ならいちよし証券、アジア株ならアイザワ証券、信用デイトレなら岩井コスモ証券。こうして目的から分けると、選び方はかなりすっきりします。
逆に、「なんとなく有名だから」「地元に支店があるから」「IPOに強いと聞いたから」だけで選ぶと、手数料や取引方法でつまずきます。
中堅証券は、安さだけでなく、使う理由がはっきりしている人ほど向きます。口座を作る前に、自分が使いたい機能が本当にその会社にあるかを確認しましょう。
出典
- 岡三オンライン, 手数料・費用
- 岡三オンライン, 岡三オンライン証券事業の一部譲渡のお知らせ
- 東海東京証券, かんたんダイレクトサービス 現物株式等委託手数料
- 東海東京証券, 国内株式等のお取引に係る基本委託手数料の改定について
- 岩井コスモ証券, コスモ・ネットレ 手数料
- 丸三証券, MARUSAN-NET
- 丸三証券, 国内株式手数料
- 水戸証券, 水戸ネット
- 水戸証券, 手数料について
- いちよし証券, いちよしダイレクト手数料
- いちよし経済研究所, いちよし経済研究所の特色
- アイザワ証券, 手数料
- アイザワ証券, アジア株
- 確認日: 2026-05-26