今日の見方
8月も銀行・信金の貸出は前年同月比5%台の増加が続きました。都銀等は7.9%増と全体を上回る一方、地銀・地銀IIは4.1%増です。融資需要の強さだけでなく、業態ごとの貸出先や調達構造の違いが数字に出ています。
預金・CDの伸びは1.6%にとどまり、貸出との開きは広がっています。銀行株にとって貸出増は量的な支えですが、預金金利の上昇や市場調達費用が広がれば、利ざやの改善を打ち消すこともあります。次の決算では貸出金利、預金利回り、信用コストを見ます。
日銀の「平残」は、月末の残高ではなく、1か月間の日々の残高を平均した数字です。期末要因の影響を抑えられる半面、企業の月中資金需要や預金の移動を一つの数字で完全に説明するものではありません。貸出と預金の集計範囲も異なるため、単純な差額を銀行の余剰資金と読み替えないようにします。
| 区分 | 8月平残 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 銀行・信金計の貸出 | 680兆3,427億円 | 5.4%増 |
| 3業態・信金計の実質預金+CD | 1,072兆4,953億円 | 1.6%増 |
| 都銀等の貸出 | 280兆6,561億円 | 7.9%増 |
注目ニュース
1. 総貸出平残は680兆3,427億円、5.4%増
日銀の9月8日公表資料によると、銀行・信金計の8月総貸出平残は680兆3,427億円でした。前年同月比は5.4%増で、7月の5.4%増から伸び率は横ばいです。銀行計は600兆305億円、5.8%増でした。
投資家が見る点: 貸出残高の増加は企業の運転資金や設備投資、住宅などの需要を含む総量です。景気の強さを直接示す統計ではないため、企業向け・個人向けの内訳や貸出金利を別の統計と合わせて確認します。
2. 都銀等7.9%増、地銀・地銀IIは4.1%増
都銀等の貸出平残は280兆6,561億円で、前年同月比7.9%増でした。地銀・地銀IIは319兆6,494億円、4.1%増で、地銀は4.6%増、地銀IIは2.0%増。信用金庫は80兆372億円、2.0%増です。
株価材料として見る点: 都銀の貸出が相対的に強い一方、地銀の伸びは一様ではありません。銀行株の物色を業態全体へ広げるには、貸出増が利息収入と利益へつながるか、決算の資金利益と信用コストで確認が必要です。
3. 実質預金・CDは1,072兆4,953億円、1.6%増
3業態・信金計の実質預金とCDの8月平残は1,072兆4,953億円で、前年同月比1.6%増でした。3業態計は910兆654億円、1.9%増。都市銀行は489兆8,762億円、2.7%増で、地銀・地銀IIは420兆1,892億円、0.9%増でした。
投資家が見る点: 預金の増加率は貸出より低く、預貸のバランスが変化しています。ただし、預金の平残と貸出の平残は集計範囲が同じではありません。単純な預貸率の計算で銀行の資金繰りを判断せず、日銀の定義を踏まえて読みます。
4. 預金は都市銀行2.7%増、地銀・地銀IIは0.9%増
預金の業態別では、都市銀行が2.7%増、地銀が1.2%増、地銀IIが前年同月比0.7%減、信用金庫が0.2%増でした。地銀IIだけがマイナスとなり、預金の動きにも業態差が表れています。
投資家が見る点: 預金の増減は地域の資金需要、金利競争、法人・個人の資金移動などが混ざった結果です。地銀株を見る場合は、貸出の増加率だけでなく、預金獲得コストと地域別の競争環境を決算資料で確認します。
なお、外国銀行の円貸出平残は7兆1,005億円で、前年同月比25.6%増でした。国内銀行・信金の合計とは集計対象が異なるため、全体の貸出増加率に足し戻す数字ではありませんが、円建ての資金需要が業態をまたいで動いているかを見る補助材料になります。
確認しておきたい日程
| 日付 | 確認事項 |
|---|---|
| 2026年9月17〜18日 | 日本銀行の金融政策決定会合 |
| 2026年10月8日 | 2026年9月分の貸出・預金動向速報の公表予定時期 |
関連ページ
出典
- 日本銀行「貸出・預金動向」(2026年9月8日公表、8月速報)
- 日本銀行「貸出・預金動向」の解説(平残・実質預金の定義)
- 日本銀行「公表予定」(2026年9月の金融政策決定会合)
本記事は日本銀行の公式速報をもとに独自に構成しています。速報値は改訂される場合があり、貸出と預金の集計範囲も一致しません。市場の見方は統計からの推論であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には価格変動による元本割れの可能性があります。