今週の3行まとめ
- 指数は週間上昇、ただし中身は激しくローテーション。 週初はAI・半導体売りと金融・内需買い、週末は半導体主導で日経平均が65,000円を回復しました。
- 日米が同じ週に利上げ。 FRBは3.75〜4.00%、日銀は1.25%へ引き上げましたが、ドル円は円安方向へ動き、金利上昇=円高という単純な反応にはなりませんでした。
- 原油100ドル超と米10年5%が残る。 週末の株高だけでリスク後退とは言い切れず、休場中の海外市場が9月24日のギャップ要因になります。
① 日経平均・TOPIXの週間推移
前週末9月11日から9月18日までの終値ベースで比較すると、3指数とも上昇しました。騰落率は各週末の終値を使って計算しており、日中の高値・安値や日々の騰落率を合計したものではありません。
| 指数 | 9/11終値 | 9/18終値 | 週間変化 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 64,011.34円 | 65,018.95円 | +1,007.61円(+1.57%) |
| TOPIX | 4,028.30 | 4,091.14 | +62.84(+1.56%) |
| 東証グロース市場250指数 | 767.93 | 808.98 | +41.05(+5.35%) |
| 日付 | 日経平均終値 | 前日比 | TOPIX終値 | 前日比 |
|---|---|---|---|---|
| 9/14 | 63,492.99円 | -0.81% | 4,058.21 | +0.74% |
| 9/15 | 63,484.10円 | -0.01% | 4,037.16 | -0.52% |
| 9/16 | 63,923.00円 | +0.69% | 4,061.72 | +0.61% |
| 9/17 | 64,136.25円 | +0.33% | 4,094.19 | +0.80% |
| 9/18 | 65,018.95円 | +1.38% | 4,091.14 | -0.07% |
前週末9月11日からの週間騰落率は、日経平均が+1.57%、TOPIXが+1.56%、東証グロース市場250指数が+5.35%です。週の現物始値は日経平均63,659.53円、週間高値65,436.57円、安値62,726.18円、終値65,018.95円でした。始値から終値では約2.14%上昇しています。
週初14日は日経平均が下落する一方でTOPIXは上昇し、値がさAI・半導体株から金融・サービスなどへ資金が移りました。15日は前場の戻りを維持できず、16日は日経平均・TOPIXがそろって反発。17日はTOPIXとグロース250まで買いが広がり、18日は逆に日経平均が1.38%高でもTOPIXは小幅安となりました。
週末の上昇は市場全体の全面高ではありません。18日の東証プライムは値上がり511銘柄、値下がり1,003銘柄で、日経平均はソフトバンクグループ、アドバンテスト、キオクシアHDなど値がさAI・半導体株の寄与を強く受けました。
売買代金は、確認できた14日が約7.29兆円、17日が約7.15兆円に対し、18日は10.40兆円へ急増しました。日銀会合と連休前のポジション調整が重なり、週末に商いが膨らんでいます。
直接確認先: 日経平均プロフィル「日次サマリー」 / JPX「東京証券取引所日報」
② 米国株・SOX・NVIDIAなど海外材料
今週の海外市場は、AI株の急落→FOMC利上げ→半導体反発という流れでした。
14日はAI関連株への警戒と米長期金利5%到達が重なり、SOXは5.9%下落しました。その後、FRBは16日に政策金利を25bp引き上げ、FF金利の誘導目標を3.75〜4.00%としました。声明では景気活動を「堅調」、インフレを「高止まり」と評価しています。
半導体株は週後半に反発し、SOXは17日に3.14%高、18日も2%台後半の上昇となりました。NVIDIAも18日に222.27ドル、+1.34%で終了。週初の急落後に買い戻しが入り、日本の半導体株も週末に連動しました。SOXのリアルタイム・終値表示は配信先で差異が生じる場合があるため、本稿では方向と日次騰落率を中心に扱っています。
米国株は18日、S&P500とNASDAQが上昇し、ダウは下落。週間ではNASDAQがプラスを確保した一方、S&P500は小幅安、ダウは大きく下げました。AI・半導体の強さと、高金利・原油高への警戒が同時に残った週です。
直接確認先: Federal Reserve「FOMC Statement 2026-09-16」 / Nasdaq「PHLX Semiconductor Sector Index」 / Nasdaq「NVIDIA」
③ 為替・金利・原油・商品
今週の最大テーマは、日米利上げにもかかわらず円安が進んだことです。
ドル円は前週末153円台から上昇し、日銀が18日に政策金利を1.25%へ引き上げた後も一時158.05円までドル高・円安が進みました。日銀の決定は7対2で、将来の利上げペースに対する市場の見方が分かれたことも円安材料になりました。
日本10年債利回りは週を通じて3%近辺で推移し、18日終盤は2.99%前後。米10年債利回りは14日に5%を超え、週末にも5%近辺へ戻りました。日米とも長期金利が高止まりし、高PER株、不動産、REITなどには評価面の負担が残っています。
原油は中東情勢を背景に100ドル超で推移しました。18日終値はBrent 104.87ドル、WTI 100.30ドル。週中の上昇からは落ち着いたものの、原油高が続けば、輸送・空運・化学・外食などではコスト面が意識されます。
直接確認先: 日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文 2026年」 / 日本銀行「外国為替市況」 / 財務省「国債金利情報」 / 米国エネルギー情報局「原油スポット価格」
④ 今週強かった業種・弱かった業種
今週は「週間を通じて一方向に強い業種」より、金利・原油・AI材料に応じたローテーションが目立ちました。
- AI・半導体:週初弱く、週末強い。 14日はソフトバンクG、アドバンテスト、キオクシアHD、東京エレクトロンが日経平均を押し下げましたが、18日は米半導体株高を受けてソフトバンクG、アドバンテスト、キオクシアHDが指数上昇を主導しました。
- 銀行・保険:前半優位、週末は失速。 国内10年金利3%近辺と日銀利上げ観測は支援材料でしたが、18日はMUFGなど金融株が弱く、利上げを単純な買い材料にはできませんでした。
- 資源・石油:原油高で選好される局面。 16日前場は石油・石炭+4.84%、鉱業+3.45%。ただし週末は原油の上昇一服で資源株の勢いも鈍化しました。
- グロース:週中弱く、後半反発。 グロース250は16日に2.27%安でしたが、17日に2.34%高、18日に2.49%高。高金利環境でも売られ過ぎからの買い戻しが入りました。
- 自動車・空運:慎重。 自動車は円安が支援する一方、金利と世界景気が重し。空運は原油100ドル超による燃料コスト負担が続きます。
⑤ 今週の注目決算・業績修正
コーセル(6905)は9月18日、2027年5月期第1四半期で売上高78.14億円、営業利益5.45億円と前年同期の営業赤字から黒字転換。通期予想を上方修正し、年間配当予想も60円へ5円増額しました。業績・ガイダンス・還元がそろった週後半の好材料です。
アドバンスクリエイト(8798)は第3四半期累計で営業損失2.71億円、純損失7.68億円。純資産は2.76億円の債務超過となり、財務面の改善が最優先の確認項目です。
ギフトホールディングス(9279)は第3四半期累計で増収増益となり、配当予想も増額。アスクル(2678)は第1四半期で売上高8.2%減、営業損失4.18億円と赤字転落しました。
また、17日には銚子丸(3075)が経常利益予想を12.2億円から19.3億円へ、アップルインターナショナル(2788)が9.3億円から10.94億円へ、霞ヶ関キャピタル(3498)が240億円から257億円へそれぞれ上方修正しました。
⑥ IPO・株主還元・優待の主な動き
IPOでは、16日にオリバー(619A)が305円に対し初値310円、オーディオストック(621A)が公開価格1,060円に対し初値1,554円。17日のSkyfall(625A)は公開価格1,500円に対し初値1,760円でした。
18日はテクノクラフト(622A)が公開価格650円に対し初値620円、ベルテックス(623A)が550円に対し607円、名証ネクストのかがやきHD(624A)が720円に対し1,206円。akippa(627A)は本稿作成時点で一次情報による初値照合を完了していないため、数値を掲載していません。TOKYO PRO Marketの応研(620A)は一般市場IPOと区別します。
株主還元では、リッジアイ(5572)が上限16万株・4億5,000万円、取得期間9月24日〜11月30日の通常市場での自己株式取得を発表しました。通常市場買付は期間中の需給支援になり得ます。
一方、日本フエルト、大日精化工業、日本精機、リケンテクノスなどではToSTNeT-3による自己株式取得がありました。ToSTNeT-3は自己株式取得専用の立会外取引で、通常市場で継続的に買い注文が出る仕組みとは異なります。
配当では、信越化学工業の記念配当、銚子丸・アップルインターナショナル・コーセルの増配が材料となりました。ロジネットジャパンは1株を4株に分割し、優待基準株数も分割比率に合わせて変更しました。
直接確認先: JPX「新規上場会社情報」 / JPX「ToSTNeT取引の種類」 / TDnet「適時開示情報閲覧サービス」
⑦ 今週の注目銘柄ランキング
1位 ソフトバンクグループ(9984)
週初はAI株警戒で売られ、週末は半導体・AI買い戻しで日経平均上昇を主導しました。「指数寄与の集中」とAIセンチメントの変化を最も表した銘柄です。
2位 アドバンテスト(6857)
SOX急落局面では売られ、17〜18日の米半導体反発では買い戻されました。来週も休場中のSOX・NVIDIAと米長期金利の組み合わせが直接材料になります。
3位 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
日銀1.25%への利上げという大材料がありながら、18日は弱含みました。利ざや改善期待だけでなく、材料出尽くし、債券評価、今後の利上げペースまで織り込む局面です。
4位 コーセル(6905)
黒字転換、通期上方修正、増配が同時にそろいました。指数材料が強い週でも、企業固有の利益改善が株価選別の軸になる例です。
5位 オーディオストック(621A)
公開価格1,060円に対し初値1,554円と+46.6%。IPO需給の強さを示した一方、上場初日に決算情報も出ており、初値だけでなく業績と流通株式の需給を分けて見る必要があります。
来週へ引き継ぐ3ポイント
1. 9月21〜23日は現物休場、9月24日に海外3日分をまとめて織り込む
東京証券取引所は9月21日、22日、23日が休業日です。次の現物取引は9月24日。大阪取引所では21〜23日にデリバティブの祝日取引が実施されるため、現物休場中も日経225先物などでは海外材料を反映した値動きが続きます。
9月19日6時の日経225先物12月限は64,900円、TOPIX先物は4,063.5。現物の日経平均65,018.95円に対し先物は118.95円低く、休場入り時点では65,000円をやや下回る位置です。
2. 日銀1.25%の実施日と「利上げでも円安」の持続性
新しい政策金利は9月24日から適用されます。日銀利上げ後にドル円が一時158.05円まで円安となったため、24日は銀行株の利ざや期待、輸出株の円安メリット、不動産・高PER株の金利負担が同時に評価されます。
円が158円台へさらに進む場合は為替介入警戒も強まりやすく、利上げそのものより為替の反応が日本株の業種間格差を左右します。
3. 65,000円より「市場の広がり」が戻るか
18日は日経平均が1.38%上昇した一方、TOPIXは0.07%安、プライム市場では値下がり1,003銘柄が値上がり511銘柄を大きく上回りました。
次の焦点は、日経平均が65,000円を維持するだけでなく、TOPIX、騰落銘柄数、金融・内需・中小型株まで買いが広がるかです。半導体数銘柄だけで指数が上がる状態が続けば、指数の強さと市場全体の強さは分けて評価する必要があります。
関連記事
出典
- 日本取引所グループ「東京証券取引所日報」
- 日本取引所グループ「デリバティブ市場情報」
- 日本取引所グループ「営業時間・休業日一覧」
- 日本取引所グループ「9月21〜23日のデリバティブ祝日取引」
- 日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文 2026年」
- 総務省統計局「2026年8月 消費者物価指数」
- 財務省「国債金利情報」
- Federal Reserve「FOMC Statement 2026-09-16」
- Nasdaq「PHLX Semiconductor Sector Index」
- Nasdaq「NVIDIA」
- 日本取引所グループ「新規上場会社情報」
- 日本取引所グループ「ToSTNeT取引の種類」
- TDnet「適時開示情報閲覧サービス」