特殊要因を除くコアCPIは2.6%
日本銀行が9月25日に公表した2026年8月分の「消費者物価のコア指標」では、生鮮食品と特殊要因を除いた日銀試算の指数が前年同月比2.6%上昇しました。
7月は2.3%だったため、0.3ポイント加速しています。2%以上は23カ月連続です。
日銀がこの試算で調整する特殊要因には、消費税率の変更、教育無償化政策、2021年の携帯電話通信料引き下げ、旅行支援策、ガソリン・電気・ガス代などの負担緩和策が含まれます。調整対象は日銀が定めるもので、総務省の公表系列を書き換えるものではありません。
全国コアCPIとは異なる試算系列
総務省が9月18日に公表した8月の全国CPIでは、生鮮食品を除く総合が前年同月比1.7%上昇でした。
7月の1.8%から0.1ポイント鈍化し、2%を下回る状態が8カ月続いています。
日銀は総務省のCPIから上記の特殊要因を調整した試算値を公表しており、8月分は2.6%でした。総務省の1.7%と日銀試算の2.6%は、同じ条件で作られた指数同士の比較ではありません。
両者には0.9ポイントの差があります。
| 指標(2025年基準、前年同月比) | 2026年8月 |
|---|---|
| 全国コアCPI(生鮮食品除く) | +1.7% |
| 生鮮食品・特殊要因を除く日銀試算 | +2.6% |
| 生鮮食品・エネルギー・特殊要因を除く日銀試算 | +2.2% |
| 食料・エネルギー・特殊要因を除く日銀試算 | +1.8% |
いずれも日銀調査統計局の試算系列です。特殊要因の調整後に上昇率が高くなることは、負担緩和策などが公表CPIを押し下げた影響と整合しますが、2系列の差だけで政策効果を厳密に測ることはできません。
生鮮食品・エネルギー除く系列は2.2%で横ばい
生鮮食品・エネルギー・特殊要因を除く日銀試算は2.2%上昇しました。
7月と同じ伸び率です。
さらに、食料・エネルギー・特殊要因を除くCPIは1.8%上昇。7月の1.6%から0.2ポイント加速しました。
エネルギーや食料を外した系列でも上昇率が持ち直しており、物価上昇が一部の資源価格だけで説明できる状態ではありません。
刈込平均値は2.16%
品目ごとの価格変化率から極端な上昇・下落を取り除く「刈込平均値」は2.16%上昇でした。
7月の2.03%から上昇し、2カ月続けて2%を上回りました。
刈込平均値は、品目別価格変動分布の上側10%と下側10%を除いて計算します。一部の商品だけが大きく値上がりした場合の影響を抑えられるため、物価の広がりを見る指標の一つです。
加重中央値は1.54%へ上昇
加重中央値は1.54%となり、7月の1.08%から上昇しました。
加重中央値は、価格上昇率の高い順に品目を並べ、消費者物価指数のウエートを累積したときに50%近辺に位置する値です。
刈込平均だけでなく、分布の中央に位置する品目にも値上げが広がったことを示します。
最頻値は1.3%へ小幅鈍化
一方、最頻値は1.3%でした。
7月の1.4%から0.1ポイント低下しています。
すべてのコア指標が同時に加速したわけではありません。ただ、刈込平均値と加重中央値が上昇し、上昇品目比率も増えているため、8月は物価上昇の広がりが強まった面が目立ちます。
上昇品目比率は74.3%
8月に前年同月比で価格が上昇した品目の割合は74.3%でした。
7月は72.4%だったため、1.9ポイント上昇しています。
下落品目の割合は23.3%から21.2%へ低下しました。
| 指標 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|
| 上昇品目比率 | 72.4% | 74.3% |
| 下落品目比率 | 23.3% | 21.2% |
| 刈込平均値 | 2.03% | 2.16% |
| 加重中央値 | 1.08% | 1.54% |
| 最頻値 | 1.4% | 1.3% |
値上げ品目の割合が増え、中央値も上昇したことで、8月は「一部品目だけのインフレ」より広い動きが見えました。
利上げ決定後に公表された物価データ
日本銀行は9月18日の金融政策決定会合で金融市場調節方針を変更し、無担保コールレートを従来の1.0%程度から1.25%程度へ引き上げる方針を決定しました。
新しい金利水準は9月24日から適用されています。
今回のコア指標は、その決定から1週間後に公表されました。したがって、8月分の2.6%が9月18日の利上げ決定を直接促したわけではありません。次の会合では、この指標に加えて賃金、需給、企業の価格設定なども判断材料になります。
今回のデータだけで次回の政策変更が決まるわけではありませんが、日銀が基調的な物価上昇率を判断する際の材料になります。
次回の金融政策決定会合は10月29日、30日の予定です。
日本株への影響は?
日銀の試算は基調的な物価を見る材料ですが、政策金利や株価に機械的に結び付くものではありません。金利上昇が意識されれば、銀行では利ざや改善への期待が出る一方、保有債券の評価損が重くなることもあります。REITや不動産、高PER株では調達コストや割引率が意識されやすく、企業ごとの利益と財務状況で影響は変わります。
まとめ
日本銀行が9月25日に公表した2026年8月のコア指標では、生鮮食品・特殊要因を除く日銀試算が2.6%へ加速しました。
総務省公表の全国コアCPIは1.7%です。日銀試算とは調整方法が異なるため単純比較はできませんが、刈込平均と加重中央値も上昇し、値上がり品目比率も74.3%へ広がりました。
このデータは9月18日の利上げ決定後に公表されたため、決定理由とは切り分けて読む必要があります。次の10月会合に向けては、賃金や需要、企業の価格設定と合わせ、物価上昇がどこまで続くかが問われます。