今週の3行まとめ

  • 日経平均は週間+1.06%。 月・火曜に計2,374円上昇して7万円を回復しましたが、水曜から3日続落し、週内高値から1,767円下で終えました。
  • 米主要指数は上昇しても半導体は下落。 SOXは週間約4.6%安、NVIDIAは2.0%安となり、日本のAI・半導体株も週後半に利益確定売りが強まりました。
  • 決算は企業ごとに明暗。 ファーストリテイリング、ローツェ、古野電気は利益成長や上方修正が目立つ一方、テルモ、わらべや日洋、安川電機には注意材料が出ました。

① 日本市場の週間成績

週間騰落は10月2日終値から10月9日終値までで計算しています。

指標10月2日終値10月9日終値週間騰落
日経平均68,309.46円69,030.92円+721.46円(+1.06%)
TOPIX4,091.004,104.81+13.81(+0.34%)
東証グロース市場250798.23806.62+8.39(+1.05%)
日付日経平均前日比TOPIXグロース250
10/569,946.86円+2.40%4,145.22812.24
10/670,683.98円+1.05%4,183.56823.71
10/770,035.71円-0.92%4,154.11813.34
10/869,042.11円-1.42%4,091.46794.75
10/969,030.92円-0.02%4,104.81806.62

日経平均の週内高値は6日の70,798.62円、安値は9日の68,150.02円で、値幅は2,648.60円でした。9日は朝方に892円安まで下げた後、前日比11円安まで戻しています。TOPIXとグロース250は反発し、プライム市場では値上がり1,194銘柄、値下がり331銘柄でした。

9日の日中清算値は日経225先物12月限が69,470円、TOPIX先物12月限が4,122.5。現物終値をそれぞれ上回りましたが、3連休中の海外材料をまだ織り込んでいない日中取引の値です。

② 今週相場を動かした材料

週前半は、前週末の米半導体株高と雇用統計後の金利観測を背景として、日本のAI・半導体・電子部品株へ買いが集中しました。5日は日経平均の技術セクター寄与が+1,075.12円で、指数上昇幅の約66%。6日はアドバンテスト1銘柄が日経平均を約334円押し上げ、33業種中30業種が上昇しました。

流れが変わったのは7日です。前日までの急上昇に対する利益確定売りが半導体株へ入り、日経平均は648円安。8日は米金利・原油高とAI投資の収益性への警戒が重なり、日経平均は993円安、TOPIXは1.51%安、グロース250は2.29%安となりました。

9日は10月限SQ値が68,465.23円で確定しました。日経平均は一時SQ値を下回ったものの、終値は565.69円上回りました。週間では上昇を維持しましたが、「半導体の期待で上げ、金利・原油・AI収益への警戒で戻す」という往復の大きい週でした。

③ 米国株・SOX・NVIDIAなど海外要因

10月9日の米国市場は、ダウが51,654.95(+0.83%)、S&P500が7,811.54(+0.59%)、NASDAQ総合が27,366.17(+0.60%)で終了しました。週間ではダウ+0.9%、S&P500+1.2%、NASDAQ+0.6%です。

一方、半導体は弱く、SOXは10月9日に12,529.41、前日比0.75%安。10月2日の13,136.67から週間で約4.6%下落しました。NVIDIAは229.28ドルで、前週末233.95ドルから2.0%安です。

週前半にはNVIDIAが過去最高値を更新しましたが、後半はOpenAI関連の収益見通しやAI投資回収への懸念を背景に半導体株が反落しました。米主要指数が週間高でも半導体株が下落したため、週明けの日本市場では米株全体よりSOX、NVIDIA、メモリー株の方向が重要になります。

④ 為替・日米金利・原油

ドル円は10月9日の米国時間終了後に158.2円前後。10月2日夕方の157円台半ばから円安方向へ動きました。円安は自動車など輸出企業の円換算収益を支える一方、原材料・燃料の輸入コストを押し上げます。

日本の新発10年国債利回りは、6日に3.12%近辺まで上昇した後、9日は3.004%で終了。前週末の3.09%前後から約9bp低下しました。6日の10年債入札は平均落札利回り3.101%で通過しましたが、国内金利は週を通じて3%台でした。

米10年債利回りは9日に5.24%近辺。米主要株指数が上昇しても高金利は続いており、高PER株には割引率の負担が残ります。

原油はBrentが104.72ドル、WTIが91.85ドル。週間ではBrent+2.4%、WTI+0.8%でした。中東情勢と米メキシコ湾の生産停止が供給懸念につながりました。

⑤ 業種・テーマ別の強弱

半導体・AI

月・火曜の上昇を主導しましたが、水曜以降は反落。東京エレクトロンは7日に日経平均を約154円押し下げ、9日もキオクシアHDなどが軟調でした。一方、ローツェは通期上方修正と増配が評価され、同じ半導体関連でも業績材料の有無で分かれました。

銀行・保険

6日は国内金利3%台を背景に銀行株へ買いが広がりましたが、週後半は一方向ではありませんでした。金利上昇は利ざや・再投資利回りの支援材料になる半面、預金コストと保有債券評価には負担です。9日に国内10年利回りが3.004%へ低下したことで、単純な「金利高=金融株高」は続きませんでした。

資源・石油

Brentが100ドルを超えて上昇したため、上流開発には支援材料です。ただし精製・販売では調達コストも上がり、業種内の利益感応度は同じではありません。週後半の海外市場ではエネルギー株が相対的に強くなりました。

自動車

ドル円158円台は輸出採算の追い風として意識されました。6日は自動車にも買いが広がりましたが、世界的な高金利による販売需要への負担も残り、円安だけで週を通じた上昇にはなりませんでした。

空運

原油高と円安が重なるため、燃料費には逆風です。運賃・燃油サーチャージと搭乗率で吸収できるかが業績判断の中心で、原油104ドル台の定着は翌週にも残る材料です。

小売・内需

ファーストリテイリング、ABCマート、吉野家HDは好調な利益や上方修正を示しました。一方、8月の家計調査では二人以上世帯の消費支出が実質前年同月比3.1%減。企業ごとの価格転嫁・客数・海外比率で差が出ています。

⑥ 今週の主要決算・業績修正

良い内容

  • ファーストリテイリング(9983):2026年8月期は売上収益3兆9,633億円、営業利益7,431億円で5期連続の最高益。2027年8月期は営業利益8,300億円、年間配当900円を計画しました。
  • ローツェ(6323):2027年2月期営業利益予想を381.12億円から530.78億円へ、純利益予想を278.09億円から377.79億円へ上方修正。期末配当予想も20円から28円へ増額しました。
  • 古野電気(6814):中間期営業利益は128.66億円(前年同期比+38.3%)。通期営業利益予想を210億円、年間配当予想を210円へ引き上げました。
  • ABCマート(2670):上期営業利益361.31億円(+7.4%)。通期営業利益予想を656億円から672億円へ上方修正しました。
  • セブン&アイHD(3382):中間期営業利益は2,322億円(+11.5%)。海外コンビニの増益が国内の減益を補い、通期予想は据え置きました。

注意材料

  • テルモ(4543):CSL Plasmaとの供給契約解除に伴い約975億円の損失を見込み、通期営業利益予想を2,575億円から1,600億円へ引き下げました。調整後営業利益予想は2,745億円で据え置きです。
  • わらべや日洋HD(2918):上期営業利益は39.69億円(-25.0%)。通期経常利益予想を76.5億円から60.5億円へ下方修正しました。
  • 安川電機(6506):通期売上収益を6,000億円へ引き上げる一方、営業利益予想を600億円から575億円へ引き下げました。売上拡大と採算悪化が併存しています。
  • アクセルスペースHD(402A):衛星の通信系統故障に伴う減損を反映し、通期営業損失予想を8億円から23億円へ下方修正しました。

⑦ IPO・株主還元・需給イベント

JPXは6日、RECEPTIONIST(660A)の東証グロース上場を承認しました。上場予定日は11月10日で、仮条件・公開価格は未定です。

8日はデジタルベリー(645A)がTOKYO PRO Marketへ上場しました。特定投資家向け市場であり、通常市場の公募IPOとは区別して扱います。

株主還元では、ローツェ、吉野家HD、古野電気が増配を発表。井関農機(6310)は33万株・5億円を上限とする市場買付型の自己株式取得を決議し、期間を11月16日〜2027年1月29日としました。

ToSTNeT-3では、5日にハイデイ日高(7611)が1株2,971円で117万8,000株を全株約定。9日は大森屋(2917)が1株891円、買付予定3万5,000株に対し3万株を約定しました。ToSTNeT-3は1日限りの立会外取引で、通常市場に継続的な買い需要が生じる自社株買いとは異なります。

⑧ 今週の注目銘柄

  • アドバンテスト(6857):6日に日経平均を約334円押し上げた週前半の主役。米SOXが週間安となったため、週明けは国内材料より米半導体株の反応に左右されやすい状態です。
  • ファーストリテイリング(9983):5期連続の最高益と次期増益計画を発表しましたが、9日の株価は売られ、日経平均の重荷となりました。好決算の織り込み度がリスクです。
  • ローツェ(6323):半導体株が弱い9日にも個別業績が評価されました。大幅上方修正後は、受注の継続性と利益率の実現が次の確認点です。
  • テルモ(4543):通期利益予想を引き下げました。ただし調整後利益は据え置きで、契約解除損失の非現金部分と基礎収益を分けて評価する必要があります。
  • 安川電機(6506):売上・純利益予想は引き上げ、営業利益は引き下げ。3連休明けは数量成長と採算悪化のどちらが強く評価されるかが焦点です。
  • 古野電気(6814):増収・営業増益、通期上方修正、増配がそろいました。修正後計画に対する下期進捗が次の判断材料です。

⑨ 週初の見通しと実際の結果

10月4日の週刊見通しは、①半導体の利益期待、②6日・8日の国債入札と金利、③ファーストリテイリング・セブン&アイの決算、④原油コストを主要論点に挙げました。

  • 半導体:的中は週前半まで。 月・火曜は指数を主導しましたが、米SOX安とAI収益への警戒で水曜以降は反落しました。
  • 金利:入札は通過、高金利は継続。 日本10年利回りは一時3.12%近辺まで上昇した後、週末3.004%。米10年利回りは5.24%近辺で高止まりしました。
  • 大型小売決算:利益面は底堅い。 ファーストリテイリングは最高益、セブン&アイは海外コンビニ主導で営業増益。ただし株価反応は決算の数字だけでは決まりませんでした。
  • 原油:翌週へ残る材料。 Brentは週間2.4%高の104.72ドル。資源株の支援と、空運・物流・小売のコスト負担が同時に残りました。

週初の基本シナリオだった「半導体が相場を支え、金利と原油で業種差が出る」はおおむね当てはまりました。ただし、半導体の支えは週後半に弱まり、個別決算による選別が想定以上に強まりました。

来週への引き継ぎ

東京市場は10月12日(月)がスポーツの日で休場し、次の現物取引は13日(火)です。米国株式市場は12日も通常取引のため、日本株は海外2営業日分の材料を13日の寄り付きでまとめて織り込みます。

米国では10月14日に9月CPI、15日に9月PPIが公表予定です。米10年債利回りが5%台にあるため、インフレ指標は半導体・高PER株だけでなく、ドル円と日本の輸出・金融株にも波及します。

国内では3連休前に発表された安川電機、古野電気、井関農機の開示に対する初回の株価反応が13日に出ます。詳しい翌週シナリオは日曜の週刊見通しへ引き継ぎます。

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出典

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本記事は2026年10月10日9時までに確認できた公開情報を整理したもので、特定銘柄や金融商品の売買を推奨するものではありません。株式・ETF等への投資は、価格変動により投資元本を割り込む可能性がある。 為替、金利、地政学、流動性、企業業績の変化により損失が拡大する場合があります。

来週見るべき3ポイント

  1. 3連休中の米半導体株と13日の窓開け 米国株は12日も取引されます。SOXとNVIDIAが反発できるか、日経225先物が9日の日中清算値69,470円からどの方向へ動くかが13日の寄り付きに反映されます。
  2. 米CPI・PPIと米10年債5%台 14日のCPI、15日のPPIを受けた米金利とドル円が焦点です。金利上昇ならAI・高PER株の評価負担、低下なら買い戻し余地が生まれます。
  3. 好決算と下方修正の初回評価 安川電機、古野電気、テルモ、ローツェ、ファーストリテイリングの株価反応を、売上成長、利益率、通期予想、配当、特殊損失に分けて捉える局面です。