今日の見方
7月は、日経平均だけを見ると急落相場です。しかしTOPIXは小幅ながら上昇しました。日経平均への寄与が大きい値がさ半導体株が売られる一方、時価総額加重のTOPIXでは金融、エンタメ、内需の一角が下支えしたためです。指数の方向が割れたこと自体が、7月相場の中身を映しています。
| 指数 | 6月30日終値 | 7月31日終値 | 月間騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 70,062.32円 | 64,362.02円 | −8.1% |
| TOPIX | 3,994.76 | 4,003.30 | +0.2% |
| NYダウ | 52,319.20ドル | 52,485.03ドル | +0.3% |
| S&P500 | 7,499.36 | 7,489.72 | −0.1% |
| NASDAQ総合 | 26,213.72 | 25,373.85 | −3.2% |
騰落率は配当を含まない価格指数の月末終値を比較し、小数第2位を四捨五入しました。日米で取引時間と休場日が異なるため、それぞれの現地市場の月末終値を使っています。
7月相場の重要ポイント
1. 日経平均は4カ月ぶり下落、TOPIXは崩れず
日経平均は6月末の7万円台から反落し、7月17日は2,694.42円安、28日には2,566.27円安となりました。28日の下落率は日経平均が3.95%、TOPIXが2.52%。指数寄与度の高いAI・半導体株へ売りが偏り、日経平均の値幅が膨らみました。
7月31日は米半導体株の急反発と国内決算を受け、日経平均が64,362.02円まで戻しました。それでも月間では5,700円安です。一方、TOPIXは6月末をわずかに上回り、相場全体が一様に売られた月ではありませんでした。
投資家が見る点: 日経平均の急落を日本株全体の8%安と読み替えないことです。TOPIX、値上がり銘柄数、業種別指数を並べると、値がさ株の調整と市場全体のリスク回避を分けられます。
2. 半導体から金融・エンタメへ資金が移動
日経平均プロフィルによると、7月の日経エンタテインメント株指数は16.77%上昇しました。対照的に、米国のSOX指数は月間20.6%安、NASDAQ100は6.6%安。前四半期まで強かったAI関連で利益確定売りが出て、米金融株は6.2%上昇しました。
日本でもカプコンの第1四半期営業利益が前年同期比66.9%増となり、ゲーム・コンテンツ株へ買いが波及しました。半導体ではSCREENホールディングスの営業利益が41.1%減となり、通期計画より足元の利益率低下が重く見られました。
投資家が見る点: 7月のローテーションは「AI需要が消えた」という話ではありません。期待が先行した銘柄ほど、受注、粗利率、投資回収まで要求されるようになった。その差が株価へ出ました。
3. 米国株は指数横ばいでも中身が大きく入れ替わる
S&P500は月間0.1%安、NYダウは0.3%高で、表面上は小動きでした。しかしS&P500均等加重指数は1.0%高となり、大型ハイテク偏重の指数を上回りました。大型AI株から景気敏感、金融、エネルギーへ資金が動き、NASDAQ総合は3.2%下落しています。
Microsoftの2026年度第4四半期は売上高900億ドル、Azureなどクラウドサービス売上高は43%増でした。好決算でも、市場はAI投資額ではなくクラウド売上と利益への転換を測る段階へ入っています。
投資家が見る点: S&P500が横ばいだから静かな月だった、とは言えません。時価総額加重指数、均等加重指数、SOX、金融株を並べると、資金移動の大きさが見えます。
4. 日本企業の決算は利益率で明暗
東京エレクトロンの2027年3月期第1四半期は、売上高7,323.88億円、営業利益2,114.07億円。前年同期比で33.3%増収、46.1%営業増益となり、上期予想も引き上げました。キオクシアHDは第1四半期売上収益1兆7,671億円、営業利益1兆2,700億円となり、AI向けSSD需要と販売単価上昇が利益を押し上げました。
数字は強い。それでも半導体株全体が戻るとは限りません。7月はSCREENの採算悪化や中国半導体勢との競争懸念も重なり、同じ業種内で株価反応が分かれました。
投資家が見る点: 売上高より粗利率、利益よりキャッシュです。メモリーは販売単価と在庫、製造装置は受注と顧客投資、ゲームは新作とリピート販売の採算を別々に見ます。
5. 日米中銀は据え置きでも、利上げ圧力が残る
FRBは7月29日、政策金利の誘導目標を3.5~3.75%に据え置きました。採決は9対3で、反対した3人は0.25ポイントの利上げを主張。中東情勢とエネルギー価格を含むインフレ圧力が、ハイテク株の評価倍率を抑えました。
日銀も7月31日に政策金利を1.0%程度で維持しましたが、採決は8対1で、1人が1.25%への引き上げを提案しました。2026年度の生鮮食品を除くCPI見通しは2.5%へ下方修正されたものの、追加利上げの方向は残っています。
7月30日17時のドル円は163円73~74銭、31日17時は160円20~22銭へ円高が進みました。財務省が後日公表した7月30日~8月26日の為替介入額は15兆3,993億円です。Brent原油も7月中に100ドルを超える場面があり、円、原油、金利が輸出株と内需株の評価を揺らしました。
投資家が見る点: 中銀の「据え置き」だけでは金利低下を意味しません。反対票、長期金利、原油、ドル円を同時に置き、銀行の利ざや期待と信用コスト、輸出企業の為替効果と急な円高反転を分けて読みます。
8月へ持ち越した論点
7月末に残ったのは、①AI投資が売上だけでなく利益率へ結び付くか、②日米の利上げ観測が長期金利を押し上げるか、③原油高と円相場が企業コストへ波及するか、の三つです。半導体株が反発しても、6月までのような一括買いへ戻るには、決算とキャッシュ・フローの裏付けが要ります。
ポートフォリオの点検軸は、日経平均への偏り、AI・半導体への集中度、金利と為替に対する利益感応度です。7月の教訓は単純で、指数名だけでは足りない。値がさ株に偏った日経平均と、より広いTOPIXの差を見れば、相場の実態をつかみやすくなります。8月の結果は2026年8月株式市場まとめで整理しています。
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出典
- 日経平均プロフィル「2026年7月の日経平均株価」(月間騰落率、エンタメ株指数)
- JPX「株価指数ヒストリカルグラフ(TOPIX)」(2026年6月30日、7月31日終値)
- S&P Dow Jones Indices「Dow Jones Industrial Average」(2026年6月30日、7月31日終値)
- S&P Dow Jones Indices「S&P 500」(2026年6月30日、7月31日終値)
- Nasdaq「NASDAQ Composite Historical Data」(2026年6月30日、7月31日終値)
- Nasdaq「July 2026 Review and Outlook」(SOX、NASDAQ100、金融株、均等加重指数)
- FRB「Federal Reserve issues FOMC statement」(2026年7月29日)
- 日本銀行「金融政策に関する決定事項等 2026年」(2026年7月31日)
- 日本銀行「外国為替市況(日次)」(2026年7月30・31日)
- 財務省「外国為替平衡操作の実施状況」(2026年8月28日公表)
- Microsoft「FY2026 Q4 Earnings」(2026年7月公表)
- 東京エレクトロン「決算資料」(2027年3月期第1四半期)
- キオクシアホールディングス「株主・投資家情報」(2027年3月期第1四半期)
- ICE「Brent Crude Futures」(2026年7月分)
※本記事は公開資料と市場データを基に2026年7月の相場を整理したもので、特定の金融商品や銘柄の売買を勧めるものではありません。市場データは配信元や確認時刻により差が生じる場合があります。