今日の見方
まず、本業の伸びと会社の見通しがそろって改善した企業を見る。次に、ニッカトーのように利益進捗が高くても予想を据え置いた企業を分ける。高い進捗率だけで追加の上方修正を見込むのは早い。
増益率には前年の利益水準や買収の影響もある。各社の営業利益を中心に選んだが、協和キリンは独自指標のコア営業利益を使用した。期間と利益の定義が違うため、伸び率だけの順位表にはしていない。
| 銘柄 | 対象期間 | 営業利益の前年同期比 | 11月2日の通期見通し |
|---|---|---|---|
| マクニカHD(3132) | 2026年4〜9月 | +91.5% | 業績・配当予想を増額 |
| スズデン(7480) | 2026年4〜9月 | +153.9% | 業績・配当予想を増額 |
| 日本軽金属HD(5703) | 2026年4〜9月 | +83.5% | 利益予想を増額 |
| LITALICO(7366) | 2026年4〜9月 | +37.0% | 業績・配当予想を増額 |
| ニッカトー(5367) | 2026年4〜9月 | +89.3% | 据え置き |
| 早稲田アカデミー(4718) | 2026年4〜9月 | +52.3% | 据え置き |
| 日鉄ソリューションズ(2327) | 2026年4〜9月 | +27.0% | 利益予想を小幅増額 |
| JIG-SAW(3914) | 2026年1〜9月 | +67.8% | 数値予想は非開示 |
| 協和キリン(4151) | 2026年1〜9月 | +46.8% ※ | 据え置き |
| ダイショー(2816) | 2026年4〜9月 | +59.0% | 据え置き |
※協和キリンはコア営業利益。ニッカトーとダイショーは非連結、ほかは連結。数値は各社が11月2日に公表した決算短信による。日鉄ソリューションズの営業利益予想の引き上げ幅は1.0%と小さい。
注目10銘柄
1. マクニカHD(3132)|半導体とセキュリティの両方が伸長
11月2日発表の上期売上高は8,312.93億円、営業利益は335.18億円。半導体とサイバーセキュリティが増収増益となり、通期営業利益予想を675億円、年間配当予想を90円へ引き上げた。
投資家が見る点: 需要の拡大に会社予想の増額が伴う。ただし営業キャッシュ・フローは325.69億円の支出。在庫・売上債権の回収と、赤字が残るCPS事業の費用が次の確認点になる。
2. スズデン(7480)|販売事業が拡大し通期も増額
11月2日の上期決算は売上高325.20億円、営業利益22.15億円。半導体・データセンター関連投資を背景に主力の電機・電子部品販売が伸び、通期営業利益予想を47.80億円へ増額した。
投資家が見る点: 営業キャッシュ・フローも19.03億円の収入を確保した。顧客の調達時期で販売が振れるため、上期の高い伸びが続くかと、製造事業の赤字縮小を追いたい。
3. 日本軽金属HD(5703)|営業・経常・純利益がそろって増加
11月2日公表の上期営業利益は213.75億円、経常利益は201.59億円で前年同期の約2.1倍。通期営業利益予想は370億円、経常利益予想は350億円へ引き上げた。
投資家が見る点: 利益率の改善を伴う増収が評価材料になる。ただし加工製品・関連事業には4.22億円の損失が残る。アルミ市況やエネルギー費用とともに、利益が出ている事業の持続性を見る。
4. LITALICO(7366)|支援事業の成長を通期予想に反映
11月2日の上期決算は売上収益221.02億円、営業利益28.26億円。通期営業利益予想を55億円から58〜63億円へ引き上げ、年間配当予想は20円とした。
投資家が見る点: 就労支援と児童福祉の拡大が利益につながった。予想に幅があるのは追加投資の時期・規模や米国の新規施設の動向が変動するため。施設の利用率と人員配置を合わせて見る。
5. ニッカトー(5367)|稼働率改善で利益進捗77%
11月2日発表の上期売上高は66.58億円、営業利益は9.40億円。電子部品向け需要の回復でセラミックスの稼働率が上がり、営業利益は通期予想12.20億円の77.0%に達した。
投資家が見る点: 増収が原価率の改善につながっている。ただし通期予想は9月18日の修正後の水準を維持。今回さらに上方修正した企業とは分け、下期の稼働率と原材料費を確認したい。
6. 早稲田アカデミー(4718)|塾生増が営業利益を押し上げ
11月2日の上期売上高は200.66億円、営業利益は25.38億円。期中平均塾生数は52,039人と5.1%増え、夏期合宿・集中特訓の参加者増も収益を支えた。
投資家が見る点: 生徒数という事業の数量面で増益を説明できる点が強み。通期営業利益予想47.70億円は据え置きで、校舎の移転・増床や教員の採用・処遇改善の費用を吸収できるかを見る。
7. 日鉄ソリューションズ(2327)|増収に粗利率改善が重なる
11月2日発表の上期売上収益は1,989.78億円、営業利益は232.09億円。売上総利益率の改善などで増益となり、通期営業利益予想を485億円から490億円へ引き上げた。
投資家が見る点: 営業キャッシュ・フローは312.35億円の収入。ただし増収にはインフォコムの連結効果が含まれる。既存事業の需要と案件採算、下期の投資負担を切り分けて読む。
8. JIG-SAW(3914)|継続課金の積み上げで営業増益
11月2日に公表した1〜9月の売上高は31.71億円、営業利益は6.66億円。月額課金案件の獲得が続き、営業利益の伸びが売上高の18.7%増を上回った。
投資家が見る点: 継続課金の拡大と採算改善を確認できる。通期の数値予想は非開示で、計画に対する上振れとは評価できない。研究開発・人材投資の負担と、新サービスの収益化が焦点になる。
9. 協和キリン(4151)|海外販売と技術収入が利益を支える
11月2日公表の1〜9月売上収益は3,849.47億円、コア営業利益は969.52億円。海外売上・技術収入の増加に加え、研究開発費の減少と為替も増益に寄与した。
投資家が見る点: 通期コア営業利益予想1,300億円は据え置き。2026年に指標の定義を変え、前年も組み替えて比較している。費用の計上時期や円安効果を除いた製品の伸びを確かめたい。
10. ダイショー(2816)|液体調味料が本業の回復を支える
11月2日発表の上期売上高は130.11億円、営業利益は3.69億円。主力の液体調味料の売上高が7.7%増加し、営業増益につながった。通期営業利益予想7億円は維持した。
投資家が見る点: 前年の低い利益水準からの回復という面もある。営業キャッシュ・フローは6.87億円の支出で、粉体などは減収。冬場の商品販売と、原材料・物流費の負担を見たい。
関連ページ
各社の利益・財務・事業別の内訳は、マクニカHD、スズデン、日本軽金属HD、LITALICO、ニッカトー、早稲田アカデミー、日鉄ソリューションズ、JIG-SAW、協和キリン、ダイショーの決算解説へ。
出典
いずれも2026年11月2日公表の決算短信。実績は4〜9月、JIG-SAWと協和キリンは1〜9月の累計値。